陳坤厚
チェン・クンホウ
監督
1937年台湾生まれ。66年中影撮影所の研修生として映画界入り。頼成英のもとで助手を務めたのち、李行監督の『生きてる限り、僕は負けない』『小城故事』『原郷人』の撮影を担当。79年に『我踏浪而来』で監督としてデビュー。助監督や脚本家としての侯孝賢と組んで次々に製作。82年に侯孝賢らと萬年青映画会社を作り、第5作目『少年』(83)で金馬奬を受賞。以降の監督作品は『結婚』(35)、『桂花小路』(87)など。また、カメラマンとして、侯孝賢監督作品はじめ数多くの作品を手がけ、ニューウェーヴを支えた。
解説
海辺の小さな町を舞台に、少年の成長していく姿を隣家の少女の眼を通して描いた、台湾ニューウェーヴの代表作。侯孝賢作品のカメラマンをつとめた陳坤厚の監督デビュー作で、原作は女流作家・朱天文の散文風短編小説である。脚本には原作者の朱天文のほか、侯孝賢も参加している。朱天文は本作で初めて映画脚本を担当した。家族を築き上げようとしながら、どうしても本当には溶け込むことのできない父親、夫への遠慮を捨て切れぬ妻。声高には語られないが、そこに象徴される本省人と外省人の矛盾が本作のもうひとつのテーマである。本作は、第20回金馬奬では、最優秀劇映画賞、最優秀監督賞、最優秀脚色賞を受賞、また、スペイン・ヒホン映画祭では最優秀劇映画に選ばれ、台湾ニューウェーヴの存在を内外に印象づけた。
物語
小畢の母親は、未婚で小畢を産み、女手ひとつで育ててきたが、息子の将来のために歳の離れた外省人の男、畢大順と結婚する。大順は、小畢を大学まで行かせると約束する。やがて弟も生まれるが、義父は小畢もかわいがり、小畢はわんぱくな少年時代をのびのびと過ごす。中学に入ると、小畢は不良の仲間入りをし、しょっちゅう悪さをして、義父はそのたびに学校に呼び出しを受けていた。ある日、学費を使い込んだ小畢に、義父はついに手を上げる。小畢は思わず「父親でもないくせに」と口にしてしまう。しょげかえる義父。母親は次の日、遺書を残して自殺する。小畢は、過去を振り切るかのように軍校に入学、ほどなくして、大順も引っ越していく。
(加藤)
スタッフ
製作:明驥 ミン・チー
制作:侯孝賢 ホウ・シャオシェン
除國良 シュー・クオリャン
監督:陳坤厚 チェン・クンホウ
脚本:侯孝賢 ホウ・シャオシェン
朱天文 チュウ・ティエンウェン
丁亞民 ディン・アーミン
許淑眞 シュ・シュジュン
原作:朱天文 チュウ・ティエンウェン
撮影:陳坤厚 チェン・クンホウ
音楽:李宗盛 ジョナサン・リー
編集:廖慶松 リャオ・チンリン
キャスト
母:張純芳 チャン・ツンファン
義父:崔福生 ツイ・フーション
小畢(中学生):鈕承澤 ニュウ・ツェンズウ
小畢(小学生):鄭傳文 ジョン・ジュアンウェン
小畢(幼年):顔正國 イェン・チェンクオ
第20回金馬奬最優秀劇映画賞 最優秀監督賞
最優秀脚色賞