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川の流れに草は青々

1982年 96分 カラー シネマスコープ 東大・星僑公司

 

在那河畔青草青

Green Green Grass of Home

 

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侯孝賢

ホウ・シャオシェン

監督

 

ステキな彼女(P41)参照

 

解説

 

侯孝賢監督の長編第3作目。タイトルの如くみずみずしくしなやかで、ニューウェーヴ前夜にあたる台湾映画の鼓動を伝えている。当時は香港や台湾のアイドルを主演に迎えた青春映画・娯楽映画が一定のファンを獲得し、鐘鎮濤と江玲という香港および台湾の人気歌手を起用したこの映画も、ジャンル的にはそれらアイドル映画の系列に属する。だが、誠実でハンサムな男性教師、彼と互いに想い合う綺麗な女性教師、都会から来た病気がちの美少女転校生、父子の断絶と和解、自然保護に立ち上がる村人たちといった分かりやすい娯楽的要素を配しつつも、俗に流れず、監督自身が映画作りを心から楽しんだ開放感、高揚感がストレートに心に響いてくる。結果的にこの映画の主人公は緑豊かな自然や大勢の子どもたちであったと言えよう。まもなくニューウエーヴ期に入り開花する“侯孝賢テイスト”はすでに輝き始めていたのである。

 

物語

 

台北の南西にある小さな山村。女性教師が辞職することになり、その弟大年が学期末までの臨時教師として赴任した。クラスには腕白3人組や、優秀だが暗い周少年などユニークを面々がおり、学校の内外でアクシデントはしょっちゅうである。大年は同僚の素雲と心を通わせるが、台北から大年の元恋人が現れて純情な素雲は戸惑う。大年は誠意をもって素雲の家に挨拶に行き、誤解は解け2人の交際も認められた。自然豊かなこの村に愛着を持ち始めた大年は、電気ショックで川の魚を捕獲するような人間がいることを知り、大切な川や魚を護る運動を起こす。ところがそうやって魚を穫っていたのはクラスの生徒周の父親で、傷ついた周は家出した母を探すため自分も家出してしまう。台北で保護された周を父親と大年が迎えに行き、父は心を開いて息子と和解する。川を護る気運も村全体で高まり、やがて大年が任期を終え台北に帰る日が来た。

(浦川)

 

スタッフ

製作:陳坤厚 チェン・クンホウ

伍玉麟 ウー・ユーリン

制作:張華坤 チャン・ホアクン

監督:侯孝賢 ホウ・シャオシェン

脚本:侯孝賢 ホウ・シャオシェン

撮影:陳坤厚 チェン・クンホウ

音楽:左宏元 ツォ・ホンユアン

編集:廖慶松 リャオ・チンソン

録音:忻江盛 シン・ジャンシェン

 

キャスト

大年:鐘鎮濤 ケニー・ビー

素雲:江玲 ジャン・リン

元恋人:陳美鳳 チェン・メイフォン

内屋娘:禹黎朔 ユー・リーシュオ

大年の父:古軍 グー・ジュン

素雲の母:梅芳 メイ・ファン

周の父:崔福生 ツイ・フーション

佩瑜:陳靜慧 チェン・ジンホイ

周:鄭傳文 ジョン・ジュアンウェン

文欽:周品君 ジョウ・ピンチュン

正國:顔正國 イェン・チェンクオ

金水:劉慶勲 リウ・チンシュン

嘔級長:張鋤非 チャン・チューフェイ

 

 

 

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