梁哲夫
リャン・チェーフ-
監督
1920年中国広東省生まれ。広州美専卒業後、中央警官学校を経て、中学校の美術教師となる。日中戦争に従軍したのち警察に務め、海南鉄鉱局の仕事も兼務し付属劇団の演出にあたる。香港映画界へ転じ、スクリプターや助監督を経て10数本の広東語映画を監督。57年台湾へ移り、80本以上にものぼる台湾語映画を手がけ、67年からは北京語映画へ転じた。70年に香港へ戻り、以降も映画製作を続けた。1992年死去。主な台湾語作品は『火葬場奇案』(57)『添丁發財』(58)『孟姜女』(59)『唐伯虎點秋香』(60)『七仙女續集』(64)『台北街頭』(66)など。
解説
日本統治時代から戦後までを舞台とした台湾語のメロドラマ。支配者であった日本人に離別させられた恋人同士が戦後に再会するまでの物語であるが、時の経過やすれ違いなどがそれをスム一ズにさせないという展開はメロドラマとしての典型的な構造をなしている。50年代にはそれまでほとんど撮られることのなかった台湾語映画が大流行したが、60年代に入るとテレビの影響などで凋落していった。本作はそうした時期に製作されたものの一本であるが、こうした純愛劇は広く歓迎された。広州出身の梁監督は日中戦争時代は美術教師であったが、その後警察学校に学び、卒業後に香港に移住。広東語映画の助監督・脚本にたずさわる。50年代以降台湾に渡り台湾語や北京語の映画を監督した。70年代以後は香港映画界に戻った。
物語
日本統治時代末期の台湾。小学校教師の啓仁(ケイリン)と碧蓮(ピイリン)の二人は恋人同士だった。ある夜、啓仁と友人の国棟(コクトン)は横暴な日本人を叩きのめしたため逮捕され、啓仁は台南の労務隊に送られた。碧蓮が面会に来た時、米軍の空襲があり、啓仁はその混乱に乗じて脱走した。啓仁と碧蓮は恩師の陳博士の家に一晩身を隠したが、翌日啓仁は捕らえられ海南島の労務隊へ送られてしまう。3ヶ月後、碧蓮は啓仁の子供を身籠もったことを知る。啓仁は後から海南島へ送られて来た国棟たちと脱走を図るが、歩哨に発見され銃撃される…。日本の敗戦により台湾は光復を迎えた。碧蓮は生まれた娘とともに啓仁を待った。しかし帰還した国棟は啓仁の死を伝えた。娘を抱えて途方に暮れた碧蓮はある日医師の郭天祥と知う合う。天祥と碧蓮は互いの不幸な過去を語り合い、そして結婚を決める。しかし結婚式の当日、死んだと思っていた啓仁が現れる。
(門間)
スタッフ
監督:梁哲夫 リャン・チェーフ-
脚本:頼赳山 ライ・チウシャン
撮影:呉家駿 ウー・ジャーチュン
編集:筱周 シャオ・チョウ
キャスト
胡啓仁:陳揚 チェン・ヤン
張碧蓮:白蘭 パイ・ラン
易原 イ・ユアン
楊月帆 ヤン・ユエファン
周萬生 チョウ・ワンション