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STORY

SOUTH AFRICA ――――― 南アフリカ

[ラヴ・チャイルド]Love Child

昔々、バクーバという村での物語。その村の人々は長い間喜びと友情しか知らずに幸せに生きてきた。時は移り、隣軍の兵士がこの村を襲った。初めて知る戦の悲しみ、埋め尽くす死の予感。この悲劇が永遠に続くように思われた。そんなある日、戦火の彼方から一人の若く美しい娘が現れる。若者たちはその娘に惹かれ、女たちも“愛の娘"と呼び彼女を愛した。その娘の名は川からきた子を意味する“ノムラムボ”といった。やがて娘に恋した一人の若者が彼女を追いかける。川の下に隠された岩屋に娘は彼を迎え入れ、家族と大きな太鼓を打ちならしている老女の一群に合わせる。女たちは若者にこの魔法の太鼓を戦場で打ち「戦いをやめさせてきて」と命じる。月明かりの下、若者が不思議なリズムを打出すと戦士たちは魔法に掛かったように平和なダンスを踊り出し、村に平穏な日々が戻ってくる。その後、毎年1月の終わりにはこれを祝い、皆で「愛の娘」の歌をうたうようになった。

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CAST PROFILE

グシナ・ムショーペ(Gcina Mhlophe)

女優として演劇・映画・テレビで活躍するばかりでなく、作家・詩人・演出家としても知られている。

これまでの主な出演作品に『黒い犬―――インジェムニィヤマ』『RSAに生まれて』があり、後者は南アフリカ、欧州、エジンバラ・フェスティバル、アメリカツアーを行い、オビイ賞の最優秀女優賞を受賞した。また自伝的作品『ザンディールを見た?』を執筆、自ら主演し、87年のエジンバラ・フェスティバルに於てフリンジ・ファースト賞の最優秀作品賞を受賞したほか、数多くの賞に輝いた。

一方、詩や物語も多数出版しており、子供向けの本として「マ・サネンダバ――物語を探す母親」「歌う犬」「モロ!ゾレカ!」「亀の女王」「七つの頭を持つ蛇」がある。今回の『ラヴ・チャイルド』も、もとはドイツ語で書かれた物語である。

グシナは日々、物語劇の手法を探求しながらワークショップや舞台を精力的にこなしており、活動の場はアフリカ大陸、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、そして日本にまで及んでいる。92年にはサネンダバ劇団を創立、芸術監督となり全世界で巡業した。

 

 

 

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