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PRODUCTION INFORMATION

SOUTH AFRICA

マニー・マニム・プロダクション(Mannie Manim Productions)

南アフリカを代表するプロデューサーであるマニー・マニム率いる当プロダクションは、質の高い作品の製作を目指し、劇作家・演出家・美術家・技術スタッフらをサポートしながら南アフリカ演劇の育成に力を入れている。

1991年3月に設立。手がけた作品には、日本でもお馴染みのアソル・フガード作『マイ・チルドレン!マイ・アフリカ!』『谷間の歌』やミュージカル劇『サラフィナ!』デヴィッド・ヘア作『スカイライト』など数多い。また国際ツアーマネージメントも行っており、ムボンゲニ・ヌゲマの『アシナマリ』などが有名である。

コーディネーターとして製作した最近の作品には、97年7月リンカーン・センター・フェスティバルにて行われた「ヴォーザ・アフリカ:アパルトヘイト以降」(南アフリカから6プロダクションが参加)、同年11月ミュンヘンでの「アウト・オブ・アフリカ・フェスティバル」がある。

 

AUTHOR'S NOTE

『ラブ・チャイルド』は私の内にある様々な葛藤から生まれました。90年代の初め、私の故郷であるハマーズデイルのみならずヨハネスブルグ全域で多くの暴力 ――― 国際メディアはこれを「黒い暴力における黒」とか「ズールー・ゾーサ戦争」と呼んでいます ――― が吹き荒れていた時に、この作品のアイデアができました。私自身、ズールー族の父とゾーサ族の母との愛の結晶であり、文字どおり「愛の娘」でありますから、何よりも、私の一族は私たちがお互い同士、愛し合っていることを知っていたのです。毎日、多くの新聞によって伝えられることを読んだり、ニュースで聞いたりすると、本当にがっかりしました。そのほとんどが事実無根のことでしたから。あまりに情けなくなり、とうとう自分で行動することに決めたのです。

そこで腰を落ち着けて『ラブ・チャイルド』の物語に取りかかりました。遠い昔の理想的な時代をベースに、現在の状況と重なるものを見つめることにしたのです。私は南アフリカの直面している解放運動に文化面から取り組んでもいましたから。『ラヴ・チャイルド』の物語は、大変美しい、まるでおとぎ話しのような感じで終わります。

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大きな丸い魔法の太鼓が水底の洞窟から一人の少女ノムラムボによって選び出され、娘とムツンジというバクーバ村の若者がその太鼓を戦場で、まだ兵士達が眠っているうちに叩くと、兵士達はその太鼓の魔法の音に魅せられて戦争など要らないと思い、敵同士は友達になり、武器を壊して代わりに新しい生活を再建するのに必要な道具を作り始めます。この太鼓は精神と感情の両面を司る何かを表わしており、人々一人一人の考えに焦点を当てながら、責任というものを考えさせます。

この物語は、現実には私たちが書き、南アフリカのアーチスト達によって演じられる詩、踊り、歌、そして劇として表わされます。この方法で、私たちは文化的な障壁や違いをすべて乗り越えることができたのです。かつて一緒に作業するなど考えられもしなかった人々が集いました。そして観客の皆さんに情報を渡し、良心に訴え、楽しんでいただきました。その過程で、私たちもまた成長させられました。私たちの国とはなんであるかを理解することにおいて。

以上が、『ラブ・チャイルド』の役割です。上演する度にこのことが達成されることを願いながら演じます。

グシナ・ムショーベ

 

DIRECTOR'S PROFILE

シピーウェ・クマロ

(Siphiwe Khumalo)

これまで演出家としてばかりでなく、俳優・照明家・音響家・舞台監督として広範囲に亘り活躍してきた。1980年代に一世を風靡した「ランドローズとロットガット:マラビとソフィアの町」には共同執筆者及び俳優として参加している。

主な演出作品は『夜のこだま』『レラトへの期間』『月の死にゆく叫び』など。また評判を呼んだミュージカル『ゴリー』では欧米ツアーも行っている。

また、音楽とミュージカルに興味を持っている彼は『SAA ―― シボンジル・クマロ・ツアー』『ある時代のこだま ―― 南アフリカのジャズの歴史』をマーケット・シアターにて、『ギブソン・ケントに捧ぐ』をグラハムズタウンのナショナル・アーツ・フェスティバルにて演出した

現在はその余りある技術経験と演技歴を活かし、演出家・音楽監督及びプロデューサーとしてフリーで活動中である。

 

LOVE CHILD was born out of a lot of conflicting emotions for me. The idea of Love Child came in the early 90's when there was so much violence in my country. Not only in Hammarsdale, my home town, but also all around Johannesburg ―――the international media called this "Black on Black violence", "A Zulu-Xhosa War". Being a Love Child myself, born from a love union of a Zulu father and a Xhosa mother, I knew first hand that my people love one another. I was annoyed by a lot of what I read in the various newspapers and what I heard in the news every day. Most of it was totally untrue. It all bothered me so much that I had to do something about it.

 

That is when I sat down and wrote the story of Love Child, basing it in the old days in particularly idealic times and then looking at certain parallels with the present. Also I was very much part of what was a tide of cultural involvement in the liberation struggle in South Africa. The story of Love Child ends in a very beautiful fairy tale like fashion, with a big round Magical Drum being brought out of an underwater cave by a girl called Nomlambo. She and Mthunzi, a young man from the village of Bhakubha, take the drum and play it at the battle field while the soldiers from both sides are sleeping. They wake up to the magical sound of the drum and arehypnotised by the rhythm so much that they no longer see the need for war, they make friends,they take their weapons and break them up, in order to make more useful instruments for rebuilding their lives. This drum was representing something both spiritual and emotional, it called for responsible, focused thinking from everyone.

 

In my own reality the drum was signified by the poetry, dance, songs and plays we wrote and performed as South African artists. That way we managed to break all kinds of cultural barriers and differences with our work. We brought together people who would haedly ever have reason to come together ――― we informed, concientised and entertained our audiences. And in the process we grew too in our understanding of what our country was about.

 

That is the role will always wish for my performance of LOVE CHILD to play.

GCINA MHLOPHE

 

 

 

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