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PRODUCTION INFORMATION

ENGLAND

ウェスト・ヨークシャー・プレイハウス(The West Yorkshire Playhouse)

“90年代で最も成功した劇団”(インディペンデント紙)“英国で最も活気のある地方劇団”(テレグラフ紙)と称されるウェスト・ヨークシャー・プレイハウスは、1990年3月に開館、イギリスでも屈指の大規模な劇団である。劇場では毎年1000回以上の舞台、ワークショップ、戯曲朗読会、及び地域活動を行っており、年間延べ25万人もの人々が訪れている。

劇団はイギリス及び欧州の古典劇、世界の現代劇、北イングランドの劇作家を中心とした新作を年に16、17本製作している。また、過去5年にわたりストリート・シアターやエンターテイメントを楽しんでもらうためのフェスティバル「リズム・オブ・ザ・シティ」を主催。青少年向けの演劇活動にも意欲的で、毎年3本の新しいプロダクションを作って地元の学校を廻る無料公演も行っている。

一方、海外の芸術家や劇団とも非常に強い絆を持っており、93年にヴェニスとローマでの国際ゴルドーニ・フェスティバルヘ英国代表として参加。ジュード・ケリー演出の『ベアティフィケーション・オブ・エリア・ボーイ』はニューヨーク、ベルリン、スイス、オーストラリアで上演されている。

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DIRECTOR'S NOTE

この30年来、英国テレビ界は連続ドラマ物に占拠されてきた。「コロネーション・ストリート」「ブルックサイド」「エマーデイル」「イースト・エンダース」等の人気番組は、仕事や家庭生活における試練や苦しみを、毎週のように、一般家庭に持ち込んだ。

これら人気ドラマに出演する俳優達はスターに祭り上げられ、視聴者はそうした俳優達を、まるで家族か親しい友人であるかのように感じ、架空の人物と俳優個人とをほとんど同一視しがちである。

この種の偶像化は視聴者のみならず俳優自身をも混乱に陥れ、俳優は何百万という熱心なファンと過重な仕事、すなわち過密なスケジュール、あり得そうにない筋書き、切れ目なく続く契約等との間で悩むことになる。俳優には名声、栄光、成功がもたらす全てが約束されているように見えるが、それらを支配する自由はまったくない。支配しようとすれば、家族全員が無理矢理巻き込まれざるを得なく、ひいては個人の人間関係の破綻を招くこともしばしばだ。

表の顔と私生活の顔との間に生じるギャップは時に極端に深い。「カウンターの明るいお姉さん」が実は、孤独と孤立感とをその仮面の裏に隠しており、いずれそれらに心まで蝕まれてしまうかもしれないのだ。

テレビとメディアは、概して、偶像を作りたがるものであるが、あげく彼らを非情なまでに駆りたて、その結果、有名人というステイタスは牢獄となってしまう。有名人は、王族であれ連ドラのスターであれ、必然的に、どうにかしてそこから逃れる。さもなければ、何かが壊れるしかないのだから。

ジュート・ケリー

 

For the last thirty years British television has been dominated by the rise of the soap opera.

Coronation Street, Brookside, Emmerdale and East-Enders bring all the trials and tribulations of working and domestic life into people's houses on a weekly basis.

 

Some of the actors appearing in these soap operas become elevated to star status and many of their public view them almost as part of their family or circle of friends and find it hard to distinguish between the fictitious character and the performer themselves.

 

DIRECTOR'S PROFILE

ジュード・ケリー(Judo Kelly)

ウェスト・ヨークシヤー・プレイハウス開館前である1988年から芸術監督であり、彼女の手腕により、劇団はイギリス内外で知られる存在となった。これまでの演出作品には「放蕩児ワイルド・オーツ」「復習者の悲劇」「コメディアンズ」「じゃじゃ馬ならし」「リア王」などがある。

1976年ソレント・ピープルズ・シアターの芸術監督としてこの世界に入る。1986年にはロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに加わり、チェルノブイリのことを扱った「サーコファガス」で高い評価を得、二つのオリヴィエ賞にもノミネートされた。

また芸術に関するコメンテイター及びスポークスマンとしても人気があり、ラジオやテレビに頻繁に出演している。96年に演劇誌「ザ・ステージ」の行った人気投票では英国演劇界で活躍中の最重要人物の第4位に列せられ、97年には演劇への貢献からOBE勲章を受賞した。

97年の作品には「オデュッセウス、どしん」ワシントンDCのシェイクスピア・シアターでの「オセロ」とイングリッシュ・ナショナル・オペラの「愛の妙薬」がある。

 

Eventually this kind of iconography can confuse the actor as much as the public and there becomes a conflict between the millions of adoring fans and the grindstone for the actor of punishing schedules, unlikely story lines and long-term unbreakable contracts. The actor appears to have all that fame, glory and success can bring but has no freedom to manoeuvre at all unless forced to make the subject their entire family life and, very often as a result, their personal relationships break down.

 

The gap between the public and the private face can be very extreme-the cheery barmaid, for example, masking the loneliness and isolation that eventually cripples the individual.

 

The television and the media generally love to create idols but mercilessly pursue them and the idol's celebrity status becomes a prison. Inevitably, somehow, whether they are royalty or a soap star, they will escape or something will break.

Jude Kelly

 

 

 

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