することが許されており、その数は年間900件にのぼっている。
では、インターネットでの通信はどう考えるべきだろうか?本章では、暗号技術と犯罪捜査の問題を中心に論じる。
?@ 暗号技術の悪用による問題
暗号技術、認証技術を有効に利用することで、インターネット上での様々な不正を防ぐことが可能になる。しかし、暗号技術の利用はプラス面ばかりではない。暗号技術を悪用されることで起こり得る脅威も考えられる。
具体的には、次のような事態に至ることが想定される。
・ 麻薬組織、テロリストグループのような犯罪者集団の通信に暗号技術が用いられると、捜査機関による犯罪の捜査、未然の阻止が困難となる。
・ 暗号技術を利用された場合、わいせつ画像や著作権を侵害したソフトウェアなど、デジタル化された違法なコンテンツの流通を防ぐことは困難になる。
・ 麻薬物や武器などの地下マーケットの取り引きの摘発が困難になる。
・ マネーロンダリングが容易になる。
・ 脱税行為の増加。
(マネーロンダリングと脱税に関しては、電子マネー技術の進展と普及にも関わる問題であり、電子マネーにより会計が透明になり、脱税が減少するとの見方もある。どのような電子マネーが利用され、どういった不正が行われるのか、現時点での予測は困難である。)
以上のように、暗号が不正に利用された場合には、犯罪・不正行為をより巧妙かつ秘密裡のうちに実行することが可能となり、犯罪関連情報も捜査機関から完全に遮断された状態で流通することとなる。
?A キーリカバリー機能の必要性
以上において述べたような事態に至ることを防止するとともに、現実に暗号の不正利用による犯罪が発生した場合に実効的な対処手段を確保するためには、暗号化されたデータヘの合法的なアクセスを可能にしておくこと、言い換えれば、社会システム上、キー