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ことで、古代より軍事用、外交用を中心として数多く用いられてきた。最近では、コードレス電話の盗聴防止、衛星放送のスクランブル、FAX暗号等、一般人の生活にも関わってきている。例えば、ビジネス界では、重役同士の機密事項の会話では“隠語”使う場合もあるという。オンラインバンキングシステムでは、利用者の識別を本人しか知らないパスワード(暗証番号)で識別している。以上のように、暗号技術は、重要なデータを盗難から守る手段として大きな役割を果たしている。

暗号の研究はアルゴリズムだけでなく、様々な項目に分かれて行われている。アルゴリズムは、最も古くから研究されている項目なので、様々なものが考案されているが、基本的には元の文の字をある規則にしたがって並べかえたり、別の字に置き換えたりする。そしてこのような変換によって第三者に意味がわからないようにすることを暗号化といい、この時の元の文を平文、暗号化した結果を暗号文という。暗号化は暗号化鍵というパラメータに依存する変換である。また、逆に暗号化鍵に対応するパラメータである復号化鍵によって暗号文を平文に戻すことを復号化という。そして、この暗号化、復号化の全過程をまとめて暗号系といい、暗号化鍵、復号化鍵を総称して暗号鍵、または単に鍵という。

 

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(2) 共通鍵(秘密鍵)暗号

暗号化のアルゴリズムは、置換や換字という操作を繰り返したり、組み合わせたりしたもので、通信文をある一定の単位でブロック化して処理をするものが多い。そこで、置換や換字といった操作のパラメータとして、暗号化鍵(復号化鍵)が必要となるのである。このように、秘密鍵暗号系では、置換や換字といった単純な操作しかしていないために、暗号化の処理を高速で行うことができる。

 

 

 

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