診察における医師資格のクロスライセンス、個人情報の移転問題等国際的なバーモナイゼーションなどさまざまな対策が必要となる。
我が国においては、電子ネットワーク協議会が1994年2月に公表した「電子ネットワーク運用における個人情報保護に関するガイドライン」をインターネットの急速の利用拡大に応じて見直しを行い、1997年12月に改訂版を発表した。また、パソコンメーカーや通信事業者などで構成されるサイバービジネス協議会が「サイバービジネスに係わる個人情報の保護に関するガイドライン」を1997年12月に公表している。
高度情報化ネットワーク社会の実現が叫ばれる中、個人信用情報など秘匿性の必要性が高い個人情報の保護については、我が国でも早急に法制度を整備すべきだとして、現在、関連省庁において検討が進められているところである。
今日、電子商取引(EC)は世界的な潮流になっている。最近、アメリカ連邦政府、EUおよび我が国の通商産業省等から相次いでEC関連のドキュメントが発表されたり、ASEANにおいてECに向けた各国の合意がなされたのも、こうした潮流を如実に物語るものである。こうした中、ECに関する制度面での世界共通のフレーム作りに大きな関心が寄せられている。
こうした状況に鑑み、電子商取引実証推進協議会(ECOM)では、ECにおける個人情報保護に関してガイドラインを策定中である。
ECにおいては、これまで以上に個人情報がオープンなネットワークを通じて収集され、利用されることが予想される。したがって、ECによって事業者ならびに消費者に利益をもたらすことが期待される反面、個人情報の漏洩等について懸念される。ECの実現は、事業者にとって出店コストの負担が軽く、また低コストで広範囲に宣伝効果を得られるという魅力から、これまで通信販売を行っている事業者に加え、業界に属さない個人や小規模の出店が予想される。これらの出店者は、必ずしも個人情報の保護の取扱について精通しているわけではない。
そこで、商取引に伴って初めて個人情報の保護に関連する事業者に対する指針として、通商産業省の作成したガイドラインを基に、それを補完、かつ一部対象を重複しながら、個人情報の保護の実効性をあげることを目的として、ガイドラインを策定することになった。このガイドラインでは、個人情報の取扱を収集・利用・提供・管理の局面から規定しており、以下のような特徴をもっている。
* ネットワーク上の情報のやり取りを重点的に対象。
* EC上の個人情報を取扱う全てを対象とし、従来の企業中心から個人事業者まで対象範囲を拡大している。
* 商取引の範囲だけでなく、これを誘因する広告・宣伝等も含める。