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第3章

 

我が国における個人コード導入上の課題

 

3-1 個人情報保護を巡る内外の動きと課題

 

3-1-1 海外における個人情報保護の動向

 

(1) はじめに近年、情報技術の進展とネットワークの拡大により、情報化の波は、産業・社会から生活・個人にいたるまで急速に進みつつある。こうした中、個人に関する情報に関しても、情報処理技術およびネットワークの高度化によってその収集・蓄積・利用が進展し、消費者信用取引の急増、二一ズの多様化・個性化などに対応した事業活動の効率的展開等さまざまな形でその効果が生じつつある。

しかしながら、その一方では、個人に関するさまざまな情報が本人の知らない間に収集・蓄積され、また、本人の予想外の目的のために利用されたり、誤った情報や不完全な情報が広く利用、提供される事態が生じ、こうした状況に対する不安感が各方面で指摘されている。

欧米諸国では、1960年代になってコンピュータが次第に普及し、これによって公的分野、民間部門の双方において情報化が進展するにつれ、個人データの処理とプライバシー保護に対する関心が急速に高まった。個人情報保護については、欧米諸国の中でも、特に北欧諸国の関心が高く、事実、個人情報保護法を国レベルで制定したのは、スウェーデンが最初である。スウェーデンでは、憲法上、国民が公文書を自由に閲覧し、これにより公的機関の行為の正当性および公平性の評価を行うことが1766年以来認められている。しかし、こうした公開の原則は、一方において対外関係の保持ならびに犯罪取り締まり活動、経済的利益および個人の秘密の保護維持の必要性など秘密保持の要請と対立する。このため、同国では公開の原則の例外として、行政機関に対し秘密保持を義務づけることにより調整を行ってきた。しかし、近年のコンピュータ技術の進歩は、これまで問題とされなかった細かな項目までも大量かつ多量に収集・処理することができるようになった結果、プライバシーを侵害する危倶が生まれることになった。このため、1969年、同国内法務省に「公文書の公表および秘密保持に関する委員会」が設置され、

 

 

 

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