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後者のTASSプロジェクトは、情報技術を活用した社会保障給付に関する業務の効率化を目的としている。キオスク端末を利用した情報や新サービスの提供、更に、給付金支払い業務の改善に向けて実験を行っている。特に注目されるのは、給付金の支払に関する本人確認の手続きのなかでスマートカードの利用を検討していることが挙げられる。スマートカードに内臓されたICチップ上に本人の指紋を登録しておき、キオスク端末を操作する人物の指紋と照合し、同一性を確認した後に、本人の職歴や受給資格に関する情報を表示するような仕組みの実証実験が一部地域で開始されている。

また、スペインの首都であるマドリッドでは、1996年12月にワンストップサービスに関する条例を制定し、1997年4月より、マドリッド市役所では、転入・転出届の自動化・郵送化等による行政サービスのワンストップ化の検討に入っている。行政サービスのワンストップ化に欠かせない統一個人コードとしてDNIを利用しようとする構想であったが、そのことに対して、DNIを所管するスペイン内務省が消極的であり、国と地方の調整は進んでいない。事実、14歳未満の場合にはDNIの取得が任意であること、重複するDNIが約10万件(全体の0.2%程度)存在することが判明しており、DNIを統一個人コードとして行政サービスのワンストップ化を実現することは断念せざるを得ない状況となっている。

 

2-2-4 デンマーク

 

デンマークでは、住民登録番号が統一個人コードとして、あらゆる公共サービスにおいて利用されている。

 

(1) 住民登録番号の概要

デンマークでは、1968年に制定された新国民登録法により、今まで地方自治体において手作業で管理されていた住民登録にかわり、CPRシステムと呼ばれる中央管理による住民登録制度が導入された。これによれば、合法的に一定期間デンマークに居住するすべての者は、CPRシステムに登録することを求められ、デンマーク人は出生時に、また外国人は移住時に、国民登録事務所において登録を済ませなければならない。

住民登録番号は、以下に示すような10桁で構成されている。

 

 

 

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