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1-1-3 納税事務等共通番号(納税者番号制度)検討の概要

 

(1) 最近の検討状況

納税者番号制度については、昭和50年代の初期から税制調査会を中心に検討が重ねられてきている。最近では、平成9年12月に行われた税制調査会の「平成10年度の税制改正に関する答申」において、引き続き検討していく事項として納税者番号制度の問題が取り上げられている。これによれば、納税者番号制度をめぐる環境は新しい環境を迎えており、同調査会において国民の受けとめ方を十分に把握しつつ、より具体的かつ積極的な検討を行わなければならない時期に来ているとの認識である。

したがって、現在のところ納税者番号制度の実施時期が明確になっているという段階ではないが、基礎年金番号の実施や住民票コードに関する法律改正案の国会提出等の動きを受けて、実施に向けての具体的な検討が進められている状況にあるということができる。

 

今回の税制調査会答申のうち納税者番号制度に関する記述の概要は次のとおりである。「納税者番号制度については、かっては主に利子・株式等譲渡益の総合課税化との関連で議論されていたが、近年は、税務行政の機械化・効率化や所得・資産課税の適正化を同制度の目的として多角的な検討が進められてきている。

最近、納税者番号制度をめぐる環境には変化がみられ、日常生活において各種カードの普及にともない、番号の利用が一般化しており、基礎年金番号の実施、住民票コードに関する法改正試案公表といった行政による全国一連の番号の整備が進んでいる。

番号利用の普及等を背景に、アンケート調査等によれば、納税者番号制度に関する国民の理解も広がっているとみられる。また、金融システム改革に伴いクロスボーダーの資金シフトが容易となる中で、資料情報制度の充実が要請されている。さらに、グローバル化や情報化のもとで、電子商取引など取引内容は複雑化、広域化しており、これに対応した適正、公平な課税が要請されている。これらの要請に応えるためには、番号の利用による効率化が有効と考えられる。

このように状況が変化していることから、納税者番号制度についてあらためて議論を深めていくことが必要になってきている。同制度の目的についても議論の展開が求められており、その際、同制度が行政の効率化等の点で基本的に有効であるとともに、納税

 

 

 

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