(2) 予想外の支出
為替、人件費などの要因から、海外調達は上手く行えばコスト削滅につながることは確かである。しかし、場合によっては、輸送費、倉庫コスト、中間検査費、督促費、トラブル対応費などにより、思わぬ費用がかかることがある。また、現地の商習慣を知らないことから割高な取引を行っている場合も考えられる。そのため、取引製品の種類、数量、取引先の場所などについて慎重に検討することが必要である。
(3) 商習慣の違い
意思疎通が充分でなかったことから、要求していたものと納品されていたものが違ったり、作り直しを要求した場合に追加金額を請求されるといった問題がある。一般に、日本では発注後に発注側とベンダで直接に打ち合わせを行うことが多いため、仕様書や図面が完全でないケースも多い。さらに、欧米の法律では口頭証拠排除の原則があり、契約締結後は契約書に含まれる文書(図面も含む)が有効となることから、口頭補足が追加金額の対象と見なされる可能性がある。
(4) トラブル対応
調達したものに欠陥があった場合、あるいは故障した場合についての取り決めをきちんと行っておく必要がある。修理に出向く必要がある場合には、地理的に遠いことが問題になってくる。欧米では、このような問題が生じないように、工程管理と同様に検査員をベンダ工場に定期的に派遣して品質管理を行っていることが多い。また、納期の問題もしばしば起こるため、国内での調達以上に慎重に対応する必要がある。
(5) 法規制と非関税障壁
日本の規制の厳しさや系列による外国企業しめだしなどの問題は以前から指摘されている。例えば具体的に指摘されているものとしては、電気製品や自動車の型式認定検査の厳しさ、石油化学関連製品の高率輸入関税、官公庁の指名競争入札による不公正、労働安全衛生規制の非効率性などがあげられる。
このような分野では、輸入拡大でコスト削減が可能であることがわかっていても、国内の規制緩和を行わないと、実際には海外調達を実現することが難しいケースが多い。プラント輸出や輸出用パソコンなどのように国内規制を受けない場合は海外調達を積極的に進めており、国際競争力も高くなっている。
(6) 政府の閉鎖的体質
各国は、調達を行う際に「自国産品優先購買制度」等を適用するなどの規範をつくったり、海外からの調達に際して様々な条件を課すなどの方法を用いるなどして、対外差別的慣行を堅持し、自国の調達市場を閉鎖的に運営している。それは、政府調達が国の予算を使って行うため、外国企業から自国の調達市場を奪われまいとする傾向が強いからである。今後はこのような差別的取り組みを改善することが望まれる。
(7) 言葉の問題
使用言語が異なる場合、通訳が必要であったり、書類の理解に時間がかかったりと、通常の取り引きよりも時間と労力が余分にかかることがある。特に、仕様書は調達側が自己の言語で記載するため、調達参加者は充分に理解する必要がある。