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続いて、1987年から行われたウルグアイ・ラウンド交渉では、協定の一般原則の実効性を確保し、その有効性を高める目的で、譲許範囲の拡大、入札手続の基準設定、異議申立、紛争解決手続などを詳細に規定したWTO政府調達協定(以下「新調達協定」という)が締結された。現在、各加入国では、1996年1月からの新調達協定の適用に合わせて、国内法制度の整備を進めている。しかし、同協定は、WTOを構成する諸協定の中で、当該協定の加入国を対象として適用される複数国間貿易協定であり、加入国は先進国中心の23カ国のみであり、全世界的な合意が形成されているわけではない。

また、ウルグアイ・ラウンドで決定された重要なポイントとしては、「貿易政策検討制度(TPRM:Trade Policy Review Mechanism)」を設け、「紛争解決機構(DBS:Dispute Settlement Body)」を設置したことがあげられる。「貿易政策検討制度」は各会員国の通商政策や制度を定期的に審査する制度であり、「紛争解決機構」は、ある加盟国がWTO(世界貿易機関)の規範に違反した場合、あるいは他の加盟国の利益を侵害した場合に当該加盟国の提訴を受け、これを是正するために設立されたものである。これらの措置を通じて、WTOは国際貿易の中核的機構としての役割を果たしていくこととなった。

 

(3) 最初の国際的規範の採択

 

政府調達分野における貿易自由化をめぐる国際的な論議は、1940年代の「国際貿易機関憲章」(ITO憲章、あるいはハバナ憲章ともいわれる)の起草作業に始まる。ここでは、内外無差別原則を主張した米国案は採択されなかったが、1960年以降、各国経済における公共部門の比重が増加するにつれ、政府調達分野での差別的慣行が世界貿易の進展を阻む重要な非関税障壁の一つであると認識されるようになってきた。このため、先進国による国際機構であるOECDを中心に自由化に向けての検討が開始されるようになった。

1963年以来、OECDは政府調達に関する国際コードの策定作業を続け、1973年6月草案を作成した。しかし、草案の確定作業中、主要国の間で基本的事項の意見調整は難航し、さらに開発途上国はOECDは先進国だけから成る国際機関であることを主張したこともあり、以降、政府調達の問題はガットで検討されることとなった。

ガット政府調達協定は、東京ラウンドにおいて採択された多角的貿易協定の一つとして成立し、1981年1月から加入国の政府調達に適用されることとなった。同協定の概要を図表2-16に示す。

 

 

 

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