2-3 国際調達の現状
2-3-1 国際調達に関する世界的取り決めの動向
(1) 国際調達の歴史と必要性
現在のように日本の技術水準がまだ高くなかった頃は、海外からの調達というと、日本にない先進技術そのものや、高品質・高機能の製品を目的として行われた。しかし、1975年頃になると、貿易摩擦による相手国の反対運動や、政府によるローカルコンテンツ法などによる規制をかわすことを目的として、輸出産業である電気、カメラ、自動車、機械、プラント業界が、部品や構成機器(component)の海外調達を始めるようになった。しかし、情報不足や契約条件のトラブルなど様々な問題もあり、それほど活発に行われなかった。
その後、さらに諸外国政府からの貿易黒字に対する改善要求が強まってきたことを受け、電力や電源開発企業などの公益企業が海外からの調達を開始した。このように外圧から始まった調達であったが、ある電力会社がガスタービン発電機を国産より40%安く海外調達できた等の例もあり、海外調達によるコストメリットが認められるようになった。また、1990年代半ばからは、流通業界で輸入品による価格破壊が起こり、これが広く産業界にも及ぶようになった。
また、海外調達はリスク分散という点からも注目されている。例えば、ある大手化学会社のエポキシ樹脂工場で事故が起こり、世界中のIC生産会社が供給源を失い混乱したという事件があった。このような供給源の停止は、工場の事故のみならず、従業員のストライキや生産会社の倒産、為替レートの急変、政治情勢の急変など、様々な要因から発生しうることである。このような事態に備えて、普段から世界中に供給源を分散して確保しておくことにより安定した供給を図るということは、企業の信頼性を高めるために必要になってきている。
さらに、情報ネットワークの進展により、世界中の情報はますます迅速かつ効率的に収集することが可能になってきている。そのため、従来のように地理的な制約にとらわれず、世界中の企業を取引先の対象とし、最も品質・価格等の条件に合った調達先を選定することが可能となってきている。