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め池を離れるものと考えられる。コミズムシは1996年8月下旬に成虫がため池内に出現したが、1996年中は繁殖が確認されなかった。しかし、1997年3月に再び成虫が現れた後は、ため池内で繁殖が確認され、個体数も増加した(図10-1)。

コオイムシは、1996年10月中旬に数個体の成虫の侵入が確認され、冬期は見られなくなったものの、翌年3月に再び成虫が現れ、4月中旬からは繁殖も始まった。さらに、6月に一時成虫の数が減少したが、その後再び個体数は増加した。本程は、9月下旬には幼虫が見られなくなったが、成虫はその後も継続してみられたので、このままため池内で越冬したものと考えられた。

ミズカマキリは1996年は6月中旬、1997年は5月にため池内に出現したが、夏に一時的に見られない時期があり、1996年6月以外はため池での繁殖が確認されなかった。これは本種が、最長1.4キロもの飛翔移動をするほど飛翔能力が高く(日比,1994)、水深の深いため池では卵が水没して孵化しないため(伴,1997)、夏期には水深の浅い水田に飛翔移動したためと考えられる。タイコウチは1996年8月に成虫の侵入が確認されたが、実際にため池内で繁殖が確認されたのは1997年の6月下旬であり、幼虫もあまり見られなかった。これは本種がミズカマキリと同じく水深の浅い場所で繁殖を行うためと考えられた(図10-2)。

 

 

 

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