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1996年の8月下旬から1997年12月の調査期間を通して、継続的にため池内で確認された。

6)クロスジギンヤンマ幼虫Anax nigrofasciatus(図4-2)

1996年7月からため池内で確認されるようになり、冬季に見られない時期はあったが、1997年4月下旬から5月上旬にかけて羽化が多数確認されたことから、ため池内で越冬したと考えられる。その後、6月下旬から再び、ため池内で確認されるようになった。

7)ヒメゲンゴロウ成虫Rhantus pulverosus(図4-3)

1996年は6月の調査開始初期からため池内で確認され、特に9月からは高密度で推移し、11月上旬から減少した。冬季には見られなくなったが、1997年の5月に確認され、再び見られなくなった。9月からは1996年の同時期よりも低密度で推移した。

8)ミズスマシ成虫(図4-3)

1996年6月の調査開始時から11月下旬までため池内で確認され、冬季には見られなくなったが、1997年3〜4月に確認された。その後、しばらく見られなくなり、再び、5月下旬から見られるようになった。

9)ガムシ成虫Hydrophilus acuminatus(図4-3)

1996年9月からため池内で確認されるようになり、冬季には見られなくなったが、再び1997年4月から確認されるようになった。4〜7月には幼虫も確認され、9月からは昨年の同時期よりも高密度で推移した。

10)フタバカゲロウの一種幼虫(図4-4)

1996年11月からため池内で確認されるようになった。特に冬に高い密度で推移した。

11)ホソバトビケラ幼虫Molanna moesta(図4-4)

1996年7月〜1997年12月にかけてため池内で断続的に確認された。

 

水生半翅類については第3章参照

 

6. 1年目と2年目の水生昆虫群集の比較

ため池造成後の2年目にあたる1997年の6〜9月には1年目(1996年)の同時期には確認されなかったオニヤンマ、シオカラトンボ類が確認され、ホソミオツネントンボ、オオアオイトトンボ、コミズムシなどの種では1年目よりも高密度で推移した。また1年目には成虫のみであったガムシやコオイムシAppsus japonicusは、2年目には幼虫もこのため池内で確認された。2年目の10〜12月にかけては、フタバカゲロウの一種とコミズムシが1年目の同時期より高密度で推移した(図5)。これらのことは、新たに造成したため池内の水生昆虫群集も季節とともに変化し、また造成後の時間の経過にともなって、同じ季節においても異なった群集が成立することを示している。

 

 

 

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