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結果と考察

 

1. 調査で確認された水生昆虫の種数およびのべ個体数

本調査ではカゲロウ目、トンボ目、カワゲラ目、カメムシ目、ヘビトンボ目、コウチュウ目、ハエ目、トビケラ目に属する27科49種のべ25957個体の水生昆虫が確認された(表1)。全調査期間を通じての優占5種は、多い順にマツモムシNotonecta triguttata、ヒメアメンボGerris latiabdominis、フタバカゲロウの一種Cloeon sp.、コミズムシSigara substriata、ホソミオツネントンボIndolestes peregrinusであった。また、これらの優占種で全種の総のべ個体数の65%以上を占めた。

 

2. 累積種数

1996年5月11日のため池造成時にはヒメアメンボ成虫とマツモムシ成虫の2種のみが見られたが、6月13日にはミズスマシ成虫Gyrinus japonicus、マルバネトビケラ幼虫Phryganopsyche latipennis、ナツアカネ幼虫Sympetrum darwinianumの3種が増えて5種となり、6月23日の調査開始時にはヤスマツアメンボ成虫Gerris insularis、マメゲンゴロウ成虫Agabus japonicusの2種が増えて7種となった。1996年の終わりまでには29種に達し、その後も徐々に種数は増加し、1997年6月中旬にクロゲンゴロウ成虫Cybister brevisが現れ、11月4日にヨツメトビケラ幼虫Perissoneura paradoxaが確認され、累積種数は49種に達した。その後12月31日まで新たな水生昆虫の追加はなかった(図2)。

 

3. ため池で確認された水生昆虫の由来

市川(1996)の指摘するように、本研究においても休耕田に水を引くことにより多くの水生昆虫を(再)移住させることができた。これは、ひとつには調査地として設定した休耕田が豊かな自然環境の残された山間部にあることによると考えられる。

今回造成したため池で確認された水生昆虫は、マツモムシ、ヒメアメンボのように最初から休耕田に生息していた成虫が産卵して増殖したもの、ナツアカネのように卵で越冬して、孵化して発生したもの、フタバカゲロウなどのカゲロウ目、ホソミイトトンボなどのトンボ目、ホソバトビケラなどのトビケラ目、カワゲラ目、センブリ目、ハエ目のように、成虫がため池に飛来して産卵し、発生したと考えられ

 

 

 

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