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調査地と方法

 

1. 調査地

調査地は、大阪府豊能郡豊能町の標高280mの山間部にある10段からなる棚田の最上郡の休耕田に設定した(図1)。その周囲はコナラ、クヌギ、アカマツなどで構成される里山林およびスギ・ヒノキ植林で囲まれ、棚田には湧水の流入があった。1996年5月に最上部の休耕田を掘り起こし、畦、水路を整備した後、1996年5月11日に水を引いて、面積約180?u、水深10〜20cmのため池を造成した。ため池内には、キカシグサRotala indica(ミソハギ科)、ヒメミソハギAmmannia multiflora(ミソハギ科)、コナギMonochoria vaginalis(ミズアオイ科)、ヒメホタルイScirpus lineolatus(カヤツリグサ科)、ウキクサSpirodela polyrhiza(ウキクサ科)、イJuncus effusus(イグサ科)、アオミドロSpirogyra arcla(ホシミドロ科)などが自生し、畦にはイヌタデPersicaria longisetaやミゾソバPersicaria thunbergii(タデ科)、セりOenanthe javanica(セリ科)がみられた。なお、10枚の棚田のうち、上から2〜7枚目は1996年10月までは水田として利用されていたが、それ以降は休耕田となり、草地となった。また、8〜10枚目は調査期間を通じて、ヒメミソハギ、キカシグサ、チドメグサHydrocotyle sibthorpiodesの自生する湿地であった。

 

2. 調査方法

調査は1996年6月23日から1997年12月31日まで毎週1回、計77回、午前中に行った。畦の上を歩きながら、畦から1以内のため池内にいる水生昆虫を目視あるいは水生昆虫網ですくい取って確認し、種と個体数を記録した。すくいとった水生昆虫はその場で放逐したが、種名のわからないものについては大阪府立大学昆虫学研究室に持ち帰り同定した。また、ため池内に人為的に生物を持ち込むことはしなかった。

 

 

 

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