そうすると、こういう青年の家の協議会あたりで、各施設に青年たちが来ますよね。一言でいい、全国レベルで好きな言葉を集めるんですよ。それで上位3つぐらい用意して、1年に1回こういう会議をやりますよね。10年単位で調べていくと変化がわかるんですよ。1年単位じゃわかりませんよ。長いスパンでみてほしい。変化しなければいいですよ。変化しなければ方法論がまずいんですよ。だから、送るメッセージのキーワードとその主催事業の組み立ては区別してほしい。こういう施設の個性化というのはできるだろうなという感じがします。それが施設の個性化。
特に所長さんの個性を出してほしいです。所長がかわると全部変わります。ですから、伸ばすのもつぶすのも所長さん次第ですからね。
2つ目、青年の最適空間と申します。千葉県の社会教育課が5年前から、不登校の子供を集めた事業を展開しています。今までの不登校対策というのは学校教育課がリードしていました。それではだめです。そこで、中央青年の家もやっていますし、大洲青年の家もやっていますが、不登校の子供たちに対して社会教育的発想でやっていきたい。特に大洲の所長が頑張っています。なぜ社会教育的な発想が大事かと申しますと、さっき言った学校の殻を全部取り外します。千葉県の社会教育課と千葉大が連携をしまして、ちょっと自慢させていただくと、担当者がうちの学生なんです。大学院生と学部の学生なんです。それで2泊3日でキャンプをするんです。不登校の子どもたちは昼間は元気なんです。一番難しいのは夜なんです。昼間というのは活動すれば何となくできるんです。夜が寂しいんですよ。
ある市が、大人が中心になって2泊3日のキャンプをやったんですよ。同じように昼間は楽しかった。しかし夜はもう寂しくてずっと公衆電話の前に並ぶんですよ。お母さん、帰りたい、帰りたい。だから、頭で考えた最適空間じゃだめなんです。
県がやった場合は、学生が全部張りつきます。部屋が8人部屋で、学生が2〜3人入ります。すると、お兄ちゃん、お姉ちゃんですから、いろんな悩みを話しますよ。中学校の2年生の女の子は、例えばあと何日欠席すればだめかとか、専門学校はどんなのがありますかとか、中ヽろんな悩みを持っているんですよ。それで、お兄ちゃん、お姉ちゃんとラポール関係をつくってパワーをアップして学校に復帰している。学校に行くだけが能じゃありませんけれども、要するに夜はパワーが落ち込むんです。一番怖いのは、朝と夜がパワーが落ち込む。そのときにどうやってケアをするかが大切になります。子どもにとっての最適空間というのが大人と違うんです。
私がこれを始めたのは1つヒントがありました。日本に一番有名なチンパンジー村というのがあります。多摩動物園にチンパンジーの村があるんです。動物愛護で人間が飼育したチンパンジーを群れに返すんですよ。ところが、群れに返すと、違った飼育をしていますから、その群れ全体の子供たちが徹底的にいじめるんです。それで獣医さんが離して別の部屋で飼育していきます。
そこで考えたのは、チンパンジーの中で太郎というボスがいるんです。太郎とその人間が育てたチンパンジーを同じ飼育舎に入れて2日間ぐらい様子を見るんです。そうすると、太郎という大ボスを入れちゃうと、子供はもう恐怖心でキャーっと言って逃げ回ります。だけれども、太郎というのは賢いから何もいじめない。そのうち子どもがだんだん近寄ってくるんです。