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だから、西の方が東京へ来たら、何でこんなに水がまずいのかと思いますよ。水がまずいから、かつおぶしでだしをとるんですよ。水がまずいから関東は味でごまかすんです。その違いを、例えば施設の中でディスカッションしてほしい。どうして味覚が違うのか。

千葉大は1万2000の学生がいます。首都圏が4割です。6割は地方から来ます。一番興味を持っているのは方言です。方言をいつ捨てるかというのに興味を持っているんです。方言を捨てるのが一番早いのが九州の男子学生。4月に来て「何とかばってん」とか使っていますよ。それが、この5月の連休明け、すぐ「だってさ」を使うんですよ。九州の男は1カ月しか方言を使いませんね。すぐ捨てる。次に早いのが四国、中国地方、一番遅いのが東北です。秋田、盛岡、青森は半年間黙っていますよ。ヒアリングは得意なんです。ああ、これが標準語か、ふんふん。テレビで聞いた標準語だな。ところが、いかんせん、ヒアリングはうまいんだけれども、スピーキングはうまくないんです。半年間ずっと黙っています。夏休み、田舎に帰って高校時代の同窓会をやりますよね。そこで「だってさ」を使うんです。周りで、おまえすごいな。そこでもう自信を持って、後期から「だってさ」を使うんです。だから、東北地方の方は半年間のタイムラグがあります。

ところが、ずっと4年間いて方言を捨てない方がいるんです。これは名古屋と関西の学生。もう名古屋の学生というのはずっと「みゃあみゃあみゃあみゃあ」言っていますからね。関西の人も本当に関西弁を使っています。ということは、連中は自分の地域の方言に自信を持っているわけです。

だから、お願いしたいのは、各施設では、皆さんが自分の地域を自慢して、方言を使う。あるときは標準語を使うとか、方言を捨てなくて方言を大事にする。そういう地域の問題をこれから考えていかないと、行革でいわれるように、国立なんて要らない。みんな県立に移管しなさい。これに対してやっぱり力を合わせて何とか戦っていかないといけないんですけれども、とにかくそういう地域の問題を大事にしていきたい。それが第1点の地域に根差した施設だと申します。

最適空間はちょっと置きまして、施設の個性化について申します。皆さん、人間には寿命がありますけれども、同じように会社にも寿命があります。施設にも寿命があると申します。そして、日経新聞の調査部が出した有名な経験則があります。会社の寿命は30年だ。ですから、青年の家ができたのは、最初は中央青年の家で昭和34年、あと3年ぐらいすれば40年になりますけれども、もう倒産して当たり前なんですよ。それで、倒産する前に、寿命が来る前に黄色い信号が点滅するというんですよ。その黄色い信号が2つある。

民間の場合は、社員の平均年齢が30歳を超えたら黄色い信号です。それで、ソニーとかホンダが一時期業績が落ちるんですよ。人事課長が、どうもおかしいと思い、内部点検したら、平均年齢が30歳を超えていた。民間でも首を切れません。そうすると子会社をつくる。出向させる。それで新しい人を抜てきしてウォークマンの開発とかホンダシティという有名なアイデアを出す。あれは営業とエンジニアがディスカッションしてできたそうです。

もう1つは、ある会社のヒット商品があります。ヒット商品の依存率が70%を超えたら黄色い信号です。要するに、100億の売り上げがあった場合に、例えばバンダイがたまごっちで70億もうけた。30年間はもつけれども、40年、50年はもたないんだというんです。小学校の教員で申しますと、私は社会科専門だけで30何年間戦っていけない。社会科もできる、体育もできる、音楽もできる。3つぐらい特技があると30年間以上もつということなんです。

例えばミツワ石けんというのをご存じでしょうか。ミツワ石けんというのは石けん一筋だったんですよ。これは7〜8年前に倒産しましたよね。結局多角経営に移行できなかった。花王石鹸は石けんで来たんだけれども、石けんをやめて多角経営したから、今でも繁栄しています。

言いたいのは、1つだけの場合、30年はもつけれども、後は持たない。そうすると、各施設で、とにかくまずうちの目玉をつくってほしんです。まず1つつくってほしい。1つあれば30年間オーケー。もっと持続するには、もう2つぐらい目玉の企画が欲しい。企業で言えばパテントが欲しいんですよ。3つあれば、もう御の字だと思います。

 

 

 

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