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中華料理も同じでして、中国ハムというのがかつおぶしと同じ役目を果たすんですが、これも本物が日本になかなか入ってきません。2年前に自由化になりましたけれども、しかし、1度火を通したり骨を外したりしていますから、見た目は似ていますが、味は似て非なるものなんです。

こういったことを含めて、味というのは、この方程式にあてはまればうまくいく。皆さんのご家庭へ行きまして、どうやって出汁をとっているのか拝見したことがあります。お中元、お歳暮にかつおぶしパックというのが贈られてきますね。ごらんになられたことはございますでしょうか。5グラム入りなんです。先ほどの道場六三郎は500グラムぐらい使うんですけれども、あの5グラムですから、本当に100分の1ですよね。ところが、それも4人家族で全部使いませんね。半分出して、半分もったいないといってゴム輪で止めて棚にのせている。ですから、美味しいのをなかなか召し上がれないんじゃないでしょうかね。たまには、ご主人が、おれがつくるぞというのも1つかもしれませんけれども、思い切って男の料理ですから、ドーンと花咲かじじいみたいにやってもらいたいですね。これは本当に旨いと思います。経済を考えなきゃいけないですけれどもね。

さあ、そこで、本当に1時間という時間だったものですから、もうほとんど残りがないんですが、私がもう1つ今、気になっていることが環境問題でして、あるシンポジウムに出た時に、地球上の生命体はあと200年でアメーバ1匹失くなると言われてショックを受けたんです。200年ということはないだろうと思ったんですが、そこで、今から8年前からいろいろ調べ始めました。今、農林水産省の環境委員をしているのですが、研究していくとやはり深刻な問題ですね。

ナホトカ号がこの一月日本海で原油を流しましたけれども、あれに相当するのが日本列島の周りから毎日毎日、同じ量のものですよ、あのナホトカ号がドーンとやったものと同じ量が毎日少しずつですけれども、海へしみ出しています。今、日本のいわゆるごみ処理能力、そして下水の処理の能力というのはどのぐらいあると思いますか。たった42%なんです。6割は垂れ流しですからね。東京というのは、今から2年前に100%になりましたが、雨が降ると横漏れしちゃうんです。

しかし、地方というのは100人単位、1000人単位で村とか部落とかがあるわけで、そうなると、それに合わせた下水処理をするにはお金がかかり過ぎるということなんです。やはりまとめてやることができないというので、処理能力が10%なんていう県があるんですよ。そうすると、ストレートに9割は垂れ流しですね。

つい最近ですけれども、あるカキの養殖の業者にお会いしました。この方が、このごろカキの身が薄くなっちゃって栄養が足りないんだよと言うんです。カキの養殖というのは、海の水と川の水がぶつかったところに良いプランクトンがわくんだそうです。そこにいかだをおろして養殖するわけですけれども、川の水が死んじゃっているんですね。なぜかその原因を探ると、高度成長期に日本は木を大分伐採したんですね、30年ぐらい前です。ところが、植林したのが余りないんです。落葉樹が一番環境づくりに大切で、枯れ葉で平べったいやつですね。これを植林していなかったんですね。そのために、あの枯れ葉というのは、落ちますといろいろな微生物が働いて上に戻すわけです。そこへ雨が降ると、その水が川にその微生物を運んでくれて、そこでまたいろんな生命体が生き返るわけです。森にするのに20年かかるそうです。ですから、今からやったとすれば、あと20年後でないと森として活躍してくれない。又、護岸工事等でほとんどがコンクリート詰めですよね。そうすると、土と水が触れていませんから、そういう意味では息ができていない。その水が流れ込んでいるから死んだ水だというわけです。

本当にこのままでいくと、20年で日本の沿岸は全滅です。もうこれ以上、何か自然破壊してほしくないなという心情ですね。

というのも、地球は200年しかもたないと聞いているからです。46億年前に地球が誕生して、38億年前にアメーバが生まれて、石油というものが大昔の生命体から生まれたものであると発見されたのが350年前、本当は紀元前から黒い水で火がつくというのは知られていたんですけれども、はっきりわかったのは最近です。

 

 

 

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