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ですから、キリストの生まれる350年ぐらい前にそういうことを決めたらしいんですけれども、25日から8日目を1月1日と決めたというんですね。

日本は明治政府が、これは偉かったのかな、明治5年12月3日を新暦の1月1日にしたんですね。そこからなんですよ。だんだんいろんなことが狂い出したのが。

アジアで唯一旧暦を捨てた国が日本ですね。地方へ行くと、旧正月とか旧盆はどこか残っているところがありますけれども、完全に捨てたというところじゃないですね。東南アジア、中国、タイだとか、シンガポールだとか、フィリピンへ行きましても旧暦です。アジアの中で日本がこれだけ経済発展したのは、明治政府が旧暦を捨てて新暦にしたせいじゃないかとこのごろ思うようになりました。やはり列強の国々の暦に合わせて、それは時差がありますけれども、しかし、大体1日寝れば、その時差が取り戻せるというぐらいですから、そのぐらいの感覚で経済のお金のやりとりから何から全部できちゃうわけです。ところが、アジアの国々はいまだに旧暦、これは太陰暦といって月の運行ですね。農業国には、種まきの時期とか刈り入れの時期というのは、これで見ていくとぴったりなんですね。

私、『歳時記』というのを随分古いものを引っ張り出しまして、江戸時代にも随分ありますが、例えば「願わくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ」と、これは平安時代の末期ですけれども、西行法師の歌ですね。如月ですから2月です。2月に「花の下にて花の死なむ」と、こ2月に、このときは梅なのかな。確かに平安時代の花といいますと、中期ぐらいまでは梅なんですね。ところが、後期、西行法師のころはもう桜なんですね。ですから、2月の桜が咲いているころにその花の下で死ぬということで、その辺から調べていきますと、やっぱり旧暦と新暦の差というのは歴然と出てくるんです。

今、日本の食品というのは6割が輸入です。旬なんか吹っ飛んでいますね。また、日本国内でつくられているものも、大体ハウス物であるとか、時期が全部変えられてしまっています。今さらおまえさん、何を言うんだと、こういうことなんですけれども、旬のものというのは実は薬効効果というんでしょうか、すごい力を持っているんですね。これを適度に、また春夏秋冬の中で春になりますと木の芽が出てきます。この木の芽というのはアルカロイドで苦みがあります。毒があるわけですけれども、これを適度にとることによって、薬として身体が活性化するんです。そういうものをちょっちょっちょっとつまんだり、うまく組み合わせていくと健康な体になれる。

あるお店なんですが、ここは冷暖房を一切使っていないんです。その店は立派だなというのは、今さらこの21世紀を目の前に向けて何をやっているんだというお客さんもいるんですけれども、旬のものしか使わないお店なんですね。夏に行きますと、うちわが置いてあるんです。竹の涼しげな部分と風鈴がある。部屋は入ると暑いんですよ。しかし、風がひゅっと通るようなそういう吹き抜けにしてありまして、そこでまず出てくるものは、ガラスの器に入った目にも涼しげなという料理です。皆さん、きっとご宴会等で日本料理屋さんへ行かれると思うんですが、夏になると、涼しげな格好をした入れ物、ガラスなどの器にお目にかかると思うんですよ。ところが、環境というのはぎんぎんの冷房の中じゃないですか。そんな状況で冷えた上に冷えたものを食べるんです。逆に身体に悪い。

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