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小さいころからの食習慣が大人になってから、いや、それ以前に、本当に思春期にもう肥満だなんていうのが随分増えまして、今、肥満は10人に1人が日本人です。欧米では3人に1人というから、欧米に近づくような勢いで食生活がどんどん欧米化して、私どもの周りには脂肪が非常に多い食事が随分並んでいると思うんですね。そういったものを子供のころから、これは食べないような方向を教えるとか、食べるべきものを選んで教える「選食」というようなことを知識として持たせる事が大切であると、この17年ぐらい前から言ってきているんです。

と申しますのも、今から20年前、1977年に、ちょうどニクソン政権のとき、アメリカがマクガバン報告というのを発表したんです。これは、マクガバンが3年間、世界中の食を研究しまして、その栄養素を分解し、分析したんですね。そして3つの、三角形で表記したのです。それは何かというと、たくぱく質と脂肪と、そして糖質、この3つを三角形であらわすんですね。欧米は二等辺三角形になります。この一番とんがっているところが脂肪なんです。そして2番目がたんぱく質で、糖質が一番低かったんですね。

ところが、欧米の様々な病気の原因はどうも脂肪や砂糖の取り過ぎじゃないだろうかということを気づき始めました。そこでアジアの食に目を向けたときに、何と日本の食というのは正三角形に近いんですね。この型が一番理想に近いということで、日本の食をひとつモデルにしようじゃないかということになったのです。これをダイエタリー・ゴールと言います。21世紀へ向けてアメリカの国民が食生活を通してどう健康になるかということをマクガバンがアメリカの食の方針として発表したわけです。

さあ、20年たちました。21世紀にあと3年ですね。実は今から2年前に中間報告というのがありまして、それを見せていただいたんですが、まず州によっていろいろ違いが出ているんですね。あそこは50州ありますから、州法というのがあるんです。大体7州ぐらいが州に1度、豆腐を食べようと、こうなっているんです。州法ですよ。食べることが好ましいというわけです。

それが豆腐をどうやって食べているかというと、我々は大体冷ややっこやしょうゆでかつおぶしをかけていただくんですけれども、向こうはジャムとかレモンを搾ったりして、ちょっと食べ方は違うんですね。ですから米国では、この20年間で豆腐が非常に普及いたしましたね。

そのほかに、虫歯というのは食生活に関連があるんですけれども、向こうの小学生というのは虫歯が平均2本なんです。日本人の小学生は何本だかご存じでしょうか。6本ですよね。これもそれでも数年前の7本から減ってはいるんです。欧米は歯医者さんが高いですから、子供のころから随分ケアをしているということはありますが、少ないと思いませんか。2本というのに近づけるには、これは日本がまた相当努力しなきゃいけないですね。

大体、歯や歯ぐきを悪くするというのはやわらかいものの食べ過ぎですよ。この20年間で3/5しか、かまなくなったわけです。やっぱりかたいものを食べていた時代からやわらかいものになったということで、あごの発達が違いますね。あごの発達ということは、よくかむと唾液が出る。唾液が出ていて、よくかんでいる間にゆっくりゆっくり消化していきますから、食べ過ぎないんですね。私もそうですけれども、大体早食いなんですよ。わわわわっと食べてしまいましてね。昔、特に戦争をご経験の方はそうだと思うんですが、早食い、早何とかなんですね。まさにそうしないと戦争に負けるよというか。

ですから、そういう意味合いからいいますと、ゆっくり食べると、満腹中枢というのが脳の下にありまして、ここがセンサーで、糖質が血液の中に入っていくと、血糖値がある量に達すると、もうおなかいっぱいだよということを知らせるわけです。ところが、早食いしますと、知らせる前にどんどん食べてしまうから、後からすごく胃が重くなるわけです。

そういうことも含めて食べ方。まず何を食べるか。そしてどのように食べるか。だれと食べるかというようなことを教える教育というのをぜひ食育という形でやっていただいた方がいいんじゃないかな。

実をいいますと、各国の日本大使館を私も寄らせていただきます。日本から代議士さんがやってくる。

 

 

 

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