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2. ア・プリオリな分析

 

本節では、第?章の分析結果を参考に、調査対象者を、性別×年齢、年齢×学歴、年齢×居住地(市町村規模区分)のそれぞれのセグメントに分け、それぞれのセグメントの精神保健ニードや情報入手経路を明らかにするとともに、受け入れ可能なメッセージの種類と、精神障害者受け入れの条件を把握して、対象に応じたアプローチの方法を検討することにしたい。

 

1) 性・年齢別区分によるセグメントの分析(表?-1〜表?-6)

 

年齢階層を、?20〜39歳、?40〜59歳、?60〜74歳に区分し、それぞれを男女別に層化して分析を行う。

まず、精神保健に関して知りたいことについては、各セグメントに大きな違いが認められた(表?-1)。「子育て」と「学校生活」については「20〜39歳女性」に多く、「夫婦関係」は男性では「20〜39歳」と「60〜74歳」、女性では「20〜39歳」「40〜59歳」に多い。また、「職場のストレス」は「20〜39歳男性」に特に多い。「退職後の生活」は「60〜74歳男性」、「高齢者の介護」は男女とも「60〜74歳」に多い。

以上のように、性・年齢別各層には必要とする精神保健の情報が異なっていることが確認された。

次に、精神保健に関する情報入手希望経路に関しては(表?-2)、全体で「テレビやラジオ」と「新聞や雑誌の記事」が多いが、「60〜74歳女性」に「テレビやラジオ」が多く、「20〜39歳女性」に「新聞や雑誌の記事」が多い傾向が認められる。また、「ストレスを受けたとき相談したいところ」については、男女とも高齢層で「掛かりつけの医師」が、若年層で「専門のカウンセラー」が多かった。

以下に、各セグメントごとに精神保健に関するメッセージの受け止めがどのように異なっているのかについて見ていくことにする。

表?-3には3つのメッセージに対する認知度(聞いたことがある)と受容度(信じることができる)の分布を性・年齢別区分のセグメントごとに示した。全般的な傾向として、高齢層に認知度がやや高く、受容度は性・年齢別に差が認められない。

表?-3の結果から、メッセージの効果を求めたのが表?-4である。ここで、全般的効果指数は、「聞いたことはない」から「あまり信じられない」人の割合(%)を減じたものである。また、低認知者改善数は、「聞いたことはない」を答えた人のうち、「信じることができる」か「そうかもしれないと思う」を回答した人の割合(%)を示している。

全般効果指数では、メッセージの種類に関わらず、男女とも若年者の効果が認められる。一方、低認知者改善度では、「20〜39歳女性」の改善度が顕著に認められる。メッセージ別に見ると、メッセージ?の改善度は66.2%で、3つのメッセージ中で改善度は第2位だが、性・年齢別区分にほとんど差が認められなかった。

次に、好きなキャッチフレーズをみると(表?-5)、「人間らしく生きたい」と「共に生きる」「心に平和を」が男女を問わず「60〜74歳」に多い。一方、「ゆっくり生きよう」は男女を問わずに「20〜39歳」「40〜59歳」に多かった。

 

 

 

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