せる利点がある。たとえば、自動車メーカーの例でいえば、自社ユーザーと他社ユーザーの名簿を所有しているときに、このようなセグメンテーションを行って各グループの特徴を把握すれば、自社ユーザー、他社ユーザーごとに異なったダイレクトメールを発送するなどの施策に即座に反映できる。
(2) ア・ポステリオリなセグメンテーション
いまひとつの考え方が、消費者の当該商品やサービスに対する態度や行動を基準にし、互いに似た人同士を集めて結果的に消費者を分割する方法である。これは、ア・プリオリなアプローチと異なって、予め分割の基準が定まっていたのではなく、似た者同士を集めて、結果的に消費者が分類できるものである。たとえば、自動車メーカーが消費者を、自動車に対して何を期待するかが類似したもの同士を集めて、グループを作る場合である。この方法は、消費者を的確に似たもの同士区分できるという利点があるものの、一方で、出来上がったグループに選択的に働きかける手段を見出せない場合も考えられる。
3) 本調査の分析の視点
本調査の分析でも、ア・プリオリ、ア・ポステリオリの2種類の分析を試みることとする。
(1) ア・プリオリなセグメンテーション
調査対象者の行動の違いは、年齢と学歴、および居住地の影響が大きいことが第VI章の分析からわかっている。中でも年齢の影響は非常に大きいことが明らかになっている。
また、一般的な基準として性別も重要と考えられる。そこで、年齢×性別、年齢×学歴、および年齢×居住地によるセグメンテーションを試みる。
(2) ア・ポステリオリなセグメンテーション
調査対象者の精神障害者に対する考え方の類似度でセグメンテーションを試みる。具体的には、(精神障害者の自立と社会参加に対する)消極度尺度と、精神障害者との社会的距離尺度である。両尺度とも、第?章の分析から回答者の精神障害者に対する態度の異なる側面を測定することが分かっている。
以上の2つのアプローチでセグメンテーションを試みたのちに、他の質問項目に対する分析を行なって、各セグメントに属する回答者の特徴を明らかにし、さらに、当該セグメントに対する対応策を検討することとしたい。