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?章 ソーシャルマーケティングに関する分析

 

1. ソーシャルマーケティングと分析枠組み

 

1) ソーシャルマーケティングの主張

 

マーケティングとは、主に営利企業の市場活動を指すものと考えられている。また、マーケティングが「モノをどう売るか」を中心に発展してきたことも事実である。しかし、近年、ソーシャルマーケティング(非営利団体のマーケティング活動)という主張がなされるようになってきている。その要点は、次の2点にまとめることができる。

 

(1)マーケティングの本質は物を売り込むことではなく、「交換」である。そのひとつの形が、モノと金銭との交換である。したがって、非営利団体の活動もまたマーケティング、すなわち交換とみるべきである。たとえば、教会は信者に対する心の安らぎと献金とを変換し、政党は政策と投票とを変換しているのである。

(2)非営利団体は、マーケティング活動を行うときに、営利企業が培ってきたマーケティング技術を活用して、よりよい交換を実現すべきである。全家連もまた、社会との間で交換を行っている非営利団体である。したがって、本調査でもマーケティング調査の技法を活用し、よりよい施策実現のための示唆を得ることを目指すものである。

 

2) マーケティング調査の基本視点

 

マーケティングの最も基本的な視点が、マーケットセグメンテーション(市場細分化)である。これは、マーケティング主体である企業が、市場を一様のものと見ず、いくつかの消費者集団の集まりと見る考え方である。市場をいくつかの小市場の集まりと見た上で小市場ごとに対応策を検討する。こうすることによって、多くの消費者に、より適切な的確に対応することができる。

本調査の分析においても、いくつかの方法で市場のセグメンテーションを試み、市場ごとに施策を検討していく。

 

●市場細分化:2つのアプローチ

いっぱんに、市場細分化には2つのアプローチが可能である。

(1)ア・プリオリなセグメンテーション

消費者を、予め定めておいた基準によっていくつかのグループに分割し、各小市場ごとに対応策を検討する方法である。たとえば、自動車会社が市場を、自社の利用者と他メーカー利用者とに分割し、各市場ごとのアプローチを検討するなどの方法である。このとき、自社利用者と他社利用者という分割の基準は、予め定められていたものである。この方法では、消費者分類基準として、施策に直結したものを採用し、結果がそのまま実務に生か

 

 

 

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