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的距離尺度1)。また、後で述べる消極度尺度との関係から、0点と1点、および2点と3点が区別しにくいことがわかったため、隣人として受け入れるかどうかに関する尺度として、「0点と1点」に0点を、「2点と3点」に1点を与えた尺度(社会的距離尺度2)を作成した。

 

2) 事例Aに対する意見

 

事例Aの従来イメージからみた重症度を尋ねた結果を示したのが表?-3である。

「だいたい同じ」が35.3%で最も多いが、「思ったより軽い」も32.8%ある。この2つに回答した人は消極度が低い人たちである。一方、「わからない」と回答した人も24.5%あった。「わからない」と回答した人の消極度は10.1と全体の平均より高い。

次に、大家からアパート入居を断られたことに対して一般論としての意見を尋ねると、「もしものことを考え仕方ない」が52.0%で最も多かった。消極度尺度項目の、「精神障害者が、一人あるいは仲間どうしでアパートをかりて生活するのは心配だ」を肯定する人が55.2%あったのとほぼ対応するであろう。一方、「入居できないのはおかしい」と回答したのは12.3%に留まっている。

「アパート生活を始めるための条件」を尋ねたところ、「どのような対応があってもむずかしい」は5.5%に過ぎず、何らかの条件が整えば受け入れが可能になると考えることができる。用意した条件で多く選ばれたのは、「本人が定期的に病院へ受診する」(53.8%)、「本人の状態が悪くなった時専門的な援助」(49.1%)、「本人が社会復帰の努力をしている」(41.7%)、「付き合いで困った時相談できる体制がある」(41.1%)であった。

さて、社会的距離尺度項目として用意した、回答者自身の事例との近所付き合いの受け入れについては、「他の人と同じような近所付き合い」(50.1%)が最も多く、次いで「困っている時はできるだけ手を貸す」(28.9%)であった。取りあえず隣人として受け入れる回答が8割近くを占めていた。一方、「あまりかかわらないようにする」は17.2%あった。また、「他の場所に住むように働きかける」は5例(0.4%)であった。

表?-3に示す得点方法(表注参照)で尺度化した、社会的距離尺度1と社会的距離尺度2、および消極度の相関関係は表?-4に示した。

 

3) 従来他調査との比較

 

過去に、同様の方法で事例Aの受け入れ程度を把握した調査が行われており、その結果を整理したのが表?-5である。調査実施上、従来の調査は一般論としての受け入れを尋ねた後に回答者自身の隣りに越してくることの可否を聞いているが、本調査では受け入れ条件を明らかにした後に受け入れ程度を尋ねている。このため、表下部に条件を提示した後の回答結果を合わせて示した。

表の通り、条件提示前の事例に比較して積極的な受け入れを肯定する回答が多くなっている。しかし、専門職の指導等を含めた条件を提示した後の回答に比べれば、受け入れは必ずしも良くない。

 

 

 

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