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定するものも約3割あった。

「妄想、幻聴のある人でも、病院に入院しないで社会生活のできる人が多い」は、「どちらとも」がやはり約半数あった。肯定的意見と否定的意見はほぼ同数である。

「家族に精神障害者がいるとしたら、それを人に知られるのは恥である」は、保留が4割で、否定も35%を占めている。

「精神障害者が、普通でない行動をとるのは病状の悪いときだけで、ふだんは社会人としての行動がとれる」は、肯定するものが約4割あった。

「精神病院に入院した人でも、信頼できる友人になれる」は、意見を留保する人が約6割にのぼる。しかし、否定するものは約1割に過ぎない。

「精神病院が必要なのは、精神障害者の多くが乱暴したり、興奮して傷害事件を起こすからである」については、肯定・保留・否定ともほぼ同数であった。

「精神障害者は、病気の再発を防ぐために自分で健康管理をすることは期待できない」についても、各選択肢がほぼ同数であるが、保留が40%でやや多い。

「精神障害者が、一人あるいは仲間どうしでアパートをかりて生活するのは心配だ」は、肯定するものが5割強あった。精神障害者の自律に消極的な態度を肯定する回答が最も多い項目である。この項目は、後に分析する社会的距離尺度と同様の内容を捉えた項目であることに留意が必要であろう。

「精神障害者は、事件を起こしても、決して罪に問われることはない」については、55%の人が否定的な意見を持っていた。

 

2) 83年調査との比較

 

次に、1983年に行われた「精神障害者の社会復帰・福祉施策形成基盤に関する調査」の一般住民調査の結果から、対応する項目の分布を比較する(図?-1〜図?-10)。

図中、濃い帯が精神障害者の自律に消極的な態度を示し、薄い帯が肯定的な態度を表しているが、全般的な傾向として、図?-2を除いて消極的態度が減少し、肯定的態度あるいは保留的態度が増加していることが分かる。特に変化が著しい項目は、「精神障害者の行動はまったく理解できない」「精神病院が必要なのは、精神障害者の多くが乱暴したり、興奮して傷害事件を起こすからである」であり、「精神障害者の行動はまったく理解できない」は、この消極的態度を肯定する意見が43.1%から30.7%に減少している。

なお、社会的距離尺度と類似の状況を捉えている「精神障害者が、一人あるいは仲間どうしでアパートをかりて生活するのは心配だ」についても、これを支持するものが71.7%から55.1%に減少している。

 

3) 消極度尺度の作成

 

以上の10項目を用いて(第11項目「精神障害者は、事件を起こしても、決して罪に問われることはない」は除く)、「精神障害者の自律に対する消極的態度尺度(消極度)」を作成する。この尺度の評価結果は、表?-2に示した。比較的良好な内的一貫性尺度を構成していることがわかる。

 

 

 

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