日本財団 図書館


?章 精神障害者観について

〜過去の調査との比較を含めて〜

 

一般国民の精神障害者に対する態度を測定する方法には、一般に、?一群の質問項目に対する回答を求める評定尺度法(CMI、OMSなど)、?情緒的意味を把握するSD法、?社会的距離尺度法がある。本調査研究では、?評定尺度法によって精神障害者観を把握する方法と、?社会的距離尺度法に基づいて、慢性の精神分裂病をもつ事例を隣人としての受け入れを把握する方法を用いた。

これらは、いずれも同様の質問項目を用いて過去に調査が行われている。本稿では、これらの項目の分布を明らかにして、精神障害者に対する態度を把握する尺度と作成するとともに、従来調査の結果との比較検討を行うことにする。

 

1. 精神障害に関する見方やイメージに関する項目

 

既に述べたように、全家運では1983年に「精神障害者の社会復帰・福祉施策形成基盤に関する調査」を行っている。一般住民(東京都民)を対象とした意識調査では、CMIに基づいて30項目からなる評定尺度を使用している。また、有識者や精神障害者家族、精神医療従事者の意識を比較するために、30項目の中から10項目を抽出して「精神障害者の自律に対する消極的態度尺度」を作成した。

本調査でも、基本的にこの尺度を使用することにしたが、精神障害者に対する偏見・差別を助長する危険性のある項目が含まれていると考えられたため、3項目を精神障害者に対する肯定的な態度を把握する項目に入れ換えるとともに(この3項目は前述した30項目に含まれる)、残りの7項目についても若干の修正を施した。

 

1) 各項目の分布

 

精神障害に関する見方やイメージに関する項目の分布を、表?-1に示した。ここには、先ほど述べた10項目に、「精神障害者は、事件を起こしても、決して罪に問われることはない」を加えている。これらの項目(10項目)から、「精神障害者の自律に対する消極的態度尺度」を作成するが、その際「肯定的態度」を捉える項目には項目番号の後に'*'を示してある(尺度作成時には、「そう思う」と「そう思わない」を逆転させる)。

まず、「激しく変化する現代社会では誰でも精神障害者になる可能性がある」については、支持するものが半数あった。しかし、「どちらとも」も約3割ある。

「精神病院の入院患者は、厳しい実生活にさらされるより、病院内で苦労なく過ごす方がよい」は、半数近くが態度を保留している。支持するものは3割弱であった。

「精神障害者の行動はまったく理解できない」は、態度を保留するものが半数あり、否

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION