4. まとめ
1) イメージの形成
精神障害についての最初の意識、すなわち、原イメージとでも呼べるようなものについては、約4分の1が原イメージを形成していないと回答している。また、原イメージの形成時期については、約4分の1が「思い出せない」と答えており、結局、形成時期を回答しているのは、全体の半数程度であった。
回答された形成時期としては、「小学生のとき」が最も多くなっているが、目立った割合というわけではなく、「小学校入学以前」が非常に低率であったことを除けば、大きな差は見られなかった。
原イメージが形成された具体的な状況としては、「特定できる誰か」の存在を通じてが半数近くを占めて最も多く、その中でも「近所の人」が4割近くと最も多くなっていた。ただし、これらの中には、知的障害者も数多く含まれていることが読み取れ、「何だか普通とは違う」といった素朴なイメージの中で、精神障害者と知的障害者が混在しているものと考えられる。
続いて、「マスコミを通じて」と「精神病院の存在」が共に1割以上の回答を得ていたが、精神病院については、鉄格子に代表される奇異な外観が印象に残っており、また、マスコミではその半数が事件報道によることなどから、ともにマイナスの原イメージを作り出しているものと考えられる。
「本や映画」あるいは「授業」といったある程度の情報に基づいて原イメージの形成を行ったものはいずれも少数であり、そうしたイメージ形成の偏りが次のイメージ内容にも反映されているものと思われる。
2) イメージの内容
原イメージの内容としては、「変わっている」「こわい」がいずれも3割以上の回答を占めて上位にランクされた。これらは、いずれも何らかの情報や理解に基づくものではなく、いわば直観的に形成された内容であり、こうした原イメージが形成される前に、知識の普及などが行われる必要を感じさせる。
3) イメージの変化
一旦形成された原イメージというものは、何らかの契機がない限り変化の必要を認めないものであり、約3分の2の人々が「変わっていない」との回答を寄せ、「変化した」との回答は1割強にとどまった。
ただし、変化したという人の中では、肯定的な方向に変化した人が8割以上を占め、「誰もがなる可能性をもつ『病気』の一つであり、特別な人ではなく普通の人と変わらない人が多い」というイメージをもってもらうことはさほど困難ではないようである。
とりわけ肯定的な方向に変化した契機としては、回答の内、「実際に接してみて」という人が半数以上を占めており、原イメージと実際とのギャップを実感することによって、イメージの変化が促進されるものと考えられる。