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シンポジューム「早期発見・治療と偏見除去」

〜正しい基本的知識の啓発教育をすべての生徒学生。その父兄に!〜

 

最近の子どもたちの様子

 

スクールカウンセラー

高野 利明

 

人が問題を抱えて不安定になっていくときは、何かのサインが出ると言われている。サインの一覧表といったものがあると便利であるが、そういうものは役に立たない。SOSのシグナルは日頃の言動からの変化として現れることが多いので、日常的なこころの状態を知っておくことが大切であろう。不適応(問題)行動へのかかわりも重要であるが、ここでは、最近の子どもたちの日常生活で見られる傾向について述べる。それは「保証を求める」ことと、「一人で見られることを恐れる」という二点である。

「石橋を 親が叩いて 子が渡る」という川柳がある。これは現代の子どもの特徴や親子関係を見事に表している。子どもは絶対大丈夫という“保証”がないと、新しいことはできない。親も先回りして子どものために安心を与える。子どもが何かの問題を抱えたとき、解決のために新しい方法を試してみるにしても、成功するという確信が必要なようである。まわりがある程度「お膳立て」しないと、子ども本人が立ち直ることは困難になる。

中学生や高校生(とくに女子)は学校の中で一人で行動することは少なく、二人以上のグループを組んでいることが多い。仲のよい友だちだからいっしょにいるというケースもあるが、そうでない場合もある。他人から「あの人はいつも一人でいる」と見られることを嫌う。一人でいることが淋しいからという訳ではなく、「一人ぽっちでいる」という他人の評価が怖いのである。これを避けるために、相性が合わない相手と無理してペアを組むということも起きる。仲のよさそうな関係に見えても、ストレスを抱えながら交友関係を保っていることがある。

以上のように、子どもたちの日常生活に寄り添い、“こころのベースライン"というべきものを知ることで、不適応や問題の発生を予防することにつながるのではないかと思われる。メンタルヘルスという観点からのかかわりが大切と考えられる。

 

 

 

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