心の病の人達と共に
丸天青果(株) 小寺 悦男
私の企業は富山中央卸売場で、青果物仲卸業を営んでいる。現在、社会適応訓練中の人達(男3名、女2名)5名が、袋詰め、野菜の加工などの仕事に従事している。
私の企業と心の病の人達の出合いは、もう10数年も前のことである。市場の中にある診療所の医師が、精紳科専門で、その先生から依頼を受けたのが始まりである。
当時は、現在のような社会適応訓練の制度も、心の病に対する認識も少なく、多少の不安があったが、問題が起きたときは、近くに専門医がいるという安心感からお引き受けしたのである。
以来10数年いろいろなタイプの心の病をもつ人達と接して来た。この病気は、医学的には、3つの分類に大別されるそうだが、私が接したせまい範囲の人達でも病状は多様であった。
今まで一番困ったのは、国立の大学卒で、ある企業のハイテク開発部門に所属し、発病された人を預かったときである。さすが作業能力はあるのだが、仕事の指示を素直に受け取ってくれない。例えば、繁雑な市場内での事故が心配で、荷運びにリフトや自動車を運転しないように指示しても、運転免許を取得しているからと、注意を無視して運転を行ったり、袋詰めなどの単純作業に馴染まなかったりした。この人は、1ケ月余りで、もとの職場に復帰していったのだが……。
このように心の病をもつ人達の病状は非常に多様であり、限られた施設と、仕事の中より自立させることは問題も多い。もっと幅広い企業の理解を得るためには、どのようにすべきなのか。一方では集約された仕事に対し、個々に適した仕事はどれなのかを的確にアドバイスできる人が必要となってくる。
個人の病状と能力に適した仕事を選べることにより、心の病をもつ人達の社会復帰は一層加速されていくものと信じている。