1) 公共交通機関の乗り継ぎ性の向上
上述のように和歌山県においては、鉄道と鉄道、路線バスと路線バスあるいは鉄道と路線バスといった公共交通の乗り継ぎが、観光における公共交通利用の促進に重要な意義を持っており、また、比較的高齢な観光客が多く、観光地が広域的に分布している和歌山県においては、公共交通の中では比較的自由に行動でき、安価である路線バスのネットワークが充実すれば、周遊観光の増加など和歌山観光の需要促進に繋がることも期待できる。
従って、乗り継ぎ割引運賃の導入や、乗り継ぎを考慮したダイヤの設定などにより、公共交通機関における乗り継ぎ性の向上を図る必要がある。
2) 交通結節点の機能向上
鉄道駅や港湾など、量的にも質的にも交通の輻輳が予想されるターミナルでは、端末交通とのダイヤ調整などのソフト面の充実を図るとともに、交通を安全・円滑に処理するためのハードの受け皿が必要となる。
また、鉄道駅などのターミナルにおいては、観光地の分布状況など周辺地域のポテンシャルによって、端末交通の整備水準なども含めて、ターミナルの有する機能水準は異なることとなり、それらの情報は、観光客が乗降するターミナルや端末交通手段の選択のための有益な情報となる。
従って、鉄道駅や港湾など交通結節点となるターミナルの整備を推進し、その機能向上を図るとともに、バス、タクシー、レンタカーなどの端末交通の整備目標水準を明確化し、それを利用者に対し周知化することなどによって、利用利便性の向上も含めた、交通結節点の機能向上を図ることが求められる。
(3) 観光交通の魅力の向上
観光における移動は、速さが要求される場合もあれば、景色を楽しむ場合など、その冗長性が要求される場合もあり、多様な観光客ニーズへの対応が課題といえる。移動中の快適性や楽しさが要求される場合、そのニーズと交通機関や地域のポテンシャルを組み合わせることで、移動自体が観光目的化することも考えられる。
そのため、移動の快適性の向上をさらに進めることによって、移動時間や交通機関自体を観光資源化し、観光需要の促進を図ることも、交通機関に求められる役割の1つといえる。
1) 交通機関の観光化
交通機関は、古くから地域交通を支えてきた歴史を持ち、観光客が観光地を理解するにも1つの材料となる。和歌山県においては、木材や果実の運搬用として活躍した歴史を有する有田鉄道や紀州鉄道など、観光資源となるポテンシャルの高い交通機関もみられる。
従って、鉄道ローカル鉄道の観光資源化、鉄道駅の魅力向上、観光用バス車両・船舶の導入などによって、交通機関自体が観光資源となることにより、地域の新たな観光資源を生み出していくことも求められる。