第4章 防災関係資料のデジタル化のあり方とデジタル化による防災行政の高度化
本章では,第2章で検討した地方公共団体における防災関係資料の種類と特性と,第3章で検討した防災関係資料のデジタル化手法の現状及び課題を踏まえ,まず,4.1で,今後の防災関係資料のデジタル化のあり方を検討するとともに,4.2で,これらの手法を活用することによってもたらされる防災行政の高度化の展望を考察する。
4.1 防災関係資料のデジタル化のあり方
各地方公共団体が,既存の防災関係資料を有効に活用し,平常時及び災害時の効果的な防災対策に反映できるようにするためには,平常時から以下のように区分されるデータの種類と属性等に応じて,防災関係資料のデジタル化を推進しておく必要がある。
? 文字・図表・数値情報
文字・数値などを主体とする防災関係資料は,「地域防災計画」,「防災関連調査報告書」,「災害記録」などがある。これらの資料は,今後の防災計画や防災事業の企画などを策定する上で重要なデータとなるため,デジタル化して加工しておく必要がある。
? 画像情報
画像を中心とした防災関係資料には,「防災マップ」,「防災パンフレット」があげられる。これらのデータは,スキャナーによる取り込みや,デジタルカメラ等によるデジタル化によりある程度の汎用性が可能となり,管理上での省スペース化をはかることができる。保存形式にはPICT,GIF等数種類あるが使用目的,条件により選択する必要がある。
? その他の情報(動画情報等)
現状では,VTRなどで得られた映像などの動画情報をデジタル化して利用されることは少ないが,デジタル 化して,コンピュータ上で扱えるようにすることにより,情報提供(発信)を容易に行うことが可能となると考えられる。
以下では,防災関係資料のデジタル化のあり方を,まず,データの入力・作成,加工・編集,出力・発信などの各処理過程に応じて示すものとする。次いで,1-9において,第2章で区分したのと同じ,防災関係資料の種類ごとに,デジタル化のあり方を示すものとする。