(1)データの作成・変換過程
a OCR変換システムによる紙媒体資料のデジタル化
既存の紙媒体(印刷物等)をベースとした各種防災資料を,スキャナーにより画像データとして取り込み,テキスト(文字)データに変換する方法は,データ入力作業の省力化につながり,さらに効率的なデータの加工・編集・転用(張込み)等を行うことを可能とする。そのためには,スキャナーによる画像データの取込み技術とOCR変換手法を効果的に適用する必要がある。
なお,資料の保存,省スペース化といった観点から考えると,スキャナーによって取り込んだ画像データを活用すること自体も,十分有効である(但し,これだけでは,ただ単に画像情報としての利用に制限されてしまい,個々の文字データ単位にデジタル化したことにならないことに留意する必要がある。)。
b 電子媒体による作成データの活用
コンピュータ上で直接文字データや画像データを作成するとともに,既に作成済みのワープロ化文書等を活用することにより,有効なデータの利用が可能となる。
異種メーカによるワープロ化文書や画像データの変換ソフトを活用することにより,既存のデジタル資産を最大限有効活用できる。但し,使用するコンピュータの機種及び使用ソフトによる互換性の制約は,全て解消しきれないため,ある程度の作業環境の統一(標準化)が必要となる。
c PDF(Portable Document Format)の活用
PDFとは,Adobe Systems社がデジタル書類によるコミュニケーションを実現するために開発した「AdobeAcrobat」で使用されている統合環境下でデータ作成や配信を可能とする(作成したソフトやOSの制約を受けない)特別なファイル形式のことである。
PDFを活用する利点は,
?)ファイルの作成が簡単である
通常使用しているソフトウェアの文字データや画像データを,そのままPDFファイルへ変換したり,手元の 書類に動画・音声ファイルを張り付けることも可能である。
?)ファイルの容量が小さくてすむ。
?)作成したファイルは,相手側の環境(OS,ソフトウェア,フォント,プリンタ)を問わず共通した形で 見ることができる。
?)複雑なレイアウト表現が可能である。
?)高品位での印刷ができるデータでありながら,ネットワーク上でのやり取りが可能である。
以上のような利点からPDF(Portable Document Format)の活用は有用であると考えられる。