日常的に素晴らしい都市をつくること、それが災害にも強い都市をつくることに通じる。日常的にアメニティがあり、コミュニティのある空間をつくれば、それが自ずからセキュリティのある空間となる、ということである。21世紀に相応しい都市の建設をはかること、このことが防災都市の建設につながってゆくのである。日常性の追求の延長線上に非日常性があるという関係をしっかり捉えてほしい。 といっても、日常的な快適さだけを追求していて良いというのではない。そのなかで常に防災を意繊する姿勢がなければ、防災性をもつた都市に行き着くことはできない。アメニティはアメニティでも、防災性をもつたアメニティを追求するということである。
(3)都市防災の即地化と防災生活目の発想
災害には地域性があるといわれる。地域の地盤などの条件によって被害の態様が異なるからである。災害に地域性がある以上、防災にも地域性が要求される。地域のもつ条件への配慮が必要だということである。そこでまず、地域の自然条件を正しく読み込むことが求められる。地形や地質などの特質に応じて、土地利用や建築構造を考えることが不可欠である。活断層を跨いで病院を建設しないといったことなどがこれにあたる。かつて沼地であったとか、かつて谷間であったとかいった土地履歴も、考慮すべき重要なファクターである。こうした地域の自然条件に関する情報を地図化して、いわゆるハザードマップという形で共有化をはかることも、防災の即地化ということでは欠かせない。
自然条件以上に社会条件を計画に反映させることが求められる。どこに1人暮らしの高齢者が住んでいるか、どこに逃げ場のない路地裏が存在するか、といったミクロな情報も欠かすことができない。こうした社会条件を反映させるということでは、地区単位あるいはコミュニティ単位に防災都市づくりを進めることを強調したい。今回の神戸市の復興計画では、東京都の防災計画にならつて「防災生活圏」という発想を取り入れている。コミュニティ単位での計画の重要性を考えてのことである。
この即地性ということでは、地域のもつ歴史や履歴にたいする心配りが必要とされる。全く白紙の上に防災都市をつくるのでない以上、それぞれの地域が持っている歴史の重みを無視できない。1989年のサンフランシスコ地震の後のサンタクルズ市の復興計画においては、「過去と将来の間の連続性」が強調され、そのなかで歴史的建造物や歴史的街路パターンの保全がはかられているが、わが国の防災都市計画においてもこの視点は欠かせない。個性ある地域づくりが地域への愛着を生み、それが地域を大切にしたいという防災の心につながるからである。防災の名のもとに画一的な市