市民の役割分担、あるいは権利と義務の関係が明らかになるからである。
(3)防災の計画を策定する
目標設定に続く段階が計画策定の段階である。設定された目標とその目標に対応する防災性能を達成するための、対策の選別と実施方法を明らかにするのが防災計画である。法的な裏付けをもった計画としては、市町村消防計画や都市防災構造化計画あるいは後述する地域防災計画などがある。ここでは様々な対策をいかに有機的に組み合わせ、いかなるプログラムで目標を達成するかが問題となる。この対策の組み立てについては、総合性や日常性といった視点が必要となるが、これについては後に詳しく触れることにしたい。
さて、ここでは地域防災計画のあり方について言及しておきたい。その1つは、実行性のあるものとするということである。震災以前の地域防災計画がもっていた欠点は、それが絵に書いた餅になっていたということである。内容面でいうと、出来ないことまでも書き込まれているという問題である。職員は全員参集できるという前提などがそうである。運用面でいうと、全職員に徹底されていないという問題があった。こうした点の改善をはかり、リアリティのあるものにする必要がある。
他の1つは、更新位のあるものにすることである。内容面の見直しが行われないままに何年も経過しているという自治体が殆どである。ノースリッジ地震や北海道南西沖地震の教訓が生かされていないのは、学習性や更新性に欠けていたからである。訓練等で実践的に見直しをはかるとともに、他地域の災害に学んで教訓的に見直しをはかることを心掛けるべきであろう。
防災都市計画の視点
さきに総合性や日常性が防災計画には必要だと述べた。このほかにも地域性や民主性といったことが要求される。
(1)防災計画の総合化とハード対策の充実
防災計画では、ハードな対策とソフトな対策あるいは予防対策と応急対策といった、質やフェーズの異なる対策を有機的に組み合わせることにより、都市の安全化をはかることが求められる。この場合、都市そのものを災害に強い体質につくりかえるハード対策あるいは予防対策を優先すべきことを再確認しておきたい。今回の震災の後、緊急事態に対する対応のまずさが目立ったことから、危機管理あるいは防災マネージメントというソフト対策が強調される傾向にある。しかし、ソフトを活かすためにもハードが大切だという視点を忘れてはならない。今回の地震で、仮設住宅の入居選定のあり方が問題になったが、市街地の中に公園などのオープンスペースが充分にあれ