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減に直面した海兵隊はレゾンデートルを南洋群島に求めた。海兵隊は総力を挙げてこの構想の実現と海兵隊の必要性を訴え、1924年に完成したオレンジ(Orange Plan)計画(対日戦争作戦計画)に、「制海権の確立は全アメリカ艦隊を収容できる前進基地を、西太平洋に設置できるか否かにかかっている。西太平洋で米国が勝つためには、日本の支配下にある島々、およびフィリピン諸島にある総ての港の支配が必要である(10)」、とフィリピン救援作戦とともにミクロネシア飛石作戦を併記させることに成功した。存在理由を得た海兵隊は、1923年には南洋群島奪取を主要任務とする、強襲上陸作戦を行う遠征海兵隊(Marine Corps Expeditionary Force)に改編するなど、対日戦争を想定した部隊への変質と改善を進め、1935年には艦隊付属の小型旅団規模の艦隊海兵隊(Fleet Marine Corps)をサンヂエゴに誕生させた(11)。議会や陸軍からは日本海軍の近代化や勢力の増強に伴い日本を対象に軍備を増強するのならば、アメリカ海軍がアメリカの富を消耗し、そのうえ本国の防備には余り寄与しない。オレンジ計画は戦略的には、愚かな「狂気の計画」であり、防衛線をアラスカ-ハワイ-パナマの線に後退すべきであるなどと主張された(12)。

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しかし、アメリカ海軍は海軍力が国家に威信と富をもたらすという教議、すなわち中国に対する門戸開放・機会均等のヘィ・ドクトリン(Hey Doctrine)を擁護し、いかなる地域にもアメリカの意志を力で示し、アメリカ外交を力で支えるべきであるとして

 

 

 

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