て、国家意志を相手国に明確に伝えることができるという利点がある。例えば、キューバ危機ではキューバのソ連ミサイル基地の無力化に対してアメリカには爆撃、ミサイル攻撃、上陸進攻、空挺作戦と種々の案が検討されたが、エスカレーションが少なく、相手に選択の余地や時間的余裕を残しつつ徐々に迫る海上封鎖が採用されたという。
また、1972年3月の北ベトナムの大攻勢に際しても、アメリカは地上部隊の再投入から原爆の使用まで各種の対応を検討したが、最終的には機雷による港湾封鎖と南下した部隊に対する空爆というソフトな対応が採用された。さらに、海軍部隊は陸軍部隊の投入と異なり体面を損なうことなく敏速に撤収できるという、「コントロール喪失のリスク」を回避できるという利点もある。このように海軍作戦は柔軟性に富み目的達成には各種の手段が選択可能であり、平時における有効親善の促進から核攻撃力の行使に至るまで、平時および戦時にもその適用範囲が広い特質を持っていいる。