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(2)海軍力の意義及び特性

海軍力の機能をブース(Ben Booth)は軍事的役割、警備的役割および外交的役割の3つ役割に分類し、この3つの役割の大きさは海軍力の大きさにより異なるとしている。そして、軍事的役割として軍事力の持つ力による?@全面戦争、?A通常戦争、?B局地戦争及び介入、?Cゲリラ戦争、平時の役割としての?@戦略核による抑止、?A通常兵力による抑止と防御、?B拡張された抑止および軍事的役割(海洋における国家活動の保護や遠隔海域における国民、権益や財産などの保護)、?C国際秩序の維持があるとしている。また、警備的機能としては沿岸警備による国家主権の行使、資源の利用確保、海洋秩序の維持があり、さらに国家安定や国家発展への寄与があり、外交的役割としては、?@力による交渉、?A巧妙な政策(Shopw the Flag政策など)の実施、?B自国の力や良好なイメージを与える威信の確保を上げている(12)。一方、ケーブル(James Cable)教授は砲艦外交を目的に従って、?@決定型(Definitive)、?A目的追求型(Purposeful)、?B接触型(Catalytic)、?C意図表示型(Expressive)の4つの形式があるとしている(13)。

現在のアメリカ海軍は、戦時の任務を「制海(Control of the Sea)とし、制海を得るために、?@シーラインの保護、?A敵国艦艇および商船の海洋利用の拒否、?B陸上攻撃および上陸強襲作戦を実施する海域の確保、?C前方展開戦闘部隊への補給路の保護を実施することとし、制海の確保は?@敵艦艇、潜水艦、航空機および機雷の無力化、?A敵指揮機能の破壊または無力化、?B敵の制海部隊支援陸上施設の破壊または無力化、?C紛争地域の島嶼、要地、半島に所在する敵の軍事基地の破壊または無力化により達成できるとしていた(14)。しかし、冷戦構造の崩壊を受け1992年には「海上から(From the Sea)」、次いで湾岸戦争後の1997年には「前進...海上から(Fowward....From thew Sea)」の新戦略に転換し、平時任務を重視して第1の任務を「戦争の抑止」とした。そして、その抑止を?@「通常兵器による抑止」、?A「核戦力による抑止」、?B「前方展開による抑止」とし、また、非軍事的な任務として次のような多様な任務を遂行することとした(15)。

◎緊急事態への対処 ◎非戦闘員の避難・引き上げ

◎テロヘの対処 ◎同盟国への安全保障上の支援

◎諸外国の国防上の支援 ◎国際連合の経済制裁への参加

◎密入国者の阻止 ◎災害救助、人道上の支援および民間活動の支援

◎国民の健康維持への支援 ◎麻薬阻止作戦への協力

 

 

 

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