海、釜山そして横浜に向けアラビア海やインド洋での航行を続けるであろう。次の15年間で、中東から石油を輸入するアジア諸国は、輸入量を易々と3倍に増やし、全世界消費量の15%以上に達するものと見られる。全世界の20%と見積もられる石油と39%の天然ガスを含むロシアの埋蔵量は、東シナ海及び南シナ海における大規模油田の発見と同じく、いずれも政治的な不確実性とインフラ上の問題で見通しは暗いものの、この進展の先がけとなりうるものである。他の勢力によって、この傾向が止められない限り、中東とアジアという非西欧世界の経済及び地政学上の2つの中心の関係は更に強まりそうである。世界的な意味合いとしては不安が増しつつある。
ミスチーフ環礁
このエネルギーに関する新たな現実は、南シナ海、東シナ海、インド洋そしてそれ以遠において兵力の投入(パワー・プロジェクション)が可能な外洋海軍を建設しょうとする中国の野心の一因となり、そして、中国が自国の大陸棚に対する領有権を再主張する上での動機となっている。中国政府の1992年の領海法及び一連の軍事行動は同国のこれらの主張を推進しようとする意図を反映したものである。
南シナ海の海底にどのようなエネルギーが埋蔵されていようとも、この地域の戦略的重要性及びブームに沸く南東沿岸の近くにある石油や天然ガスの価値は無視できない。
中国の公表された軍事予算は、インフレ率を修正しても、1988年以来75%増大している。またその資料に示された総額は、軍が経営する企業から調達される武器や、国防に再投資される利益のいずれも含まないものであり、実際の国防費よりはるかに少ない額である。エネルギーに弱い近隣諸国は、石油にどん欲で、軍備の改善を進め、次第にナショナリズムに向かう中国という巨人に対して今まで以上に懸念を強めている。
これらの緊張の発火点は南シナ海である。この海域を通じて日本と韓国の石油輸入の70%と他のアジア諸国のエネルギー需要の増大部分を供給する海上交通路が走っている。
政治的不確実性に加えて鉱床が小さい上に深度が大きく調査に費用がかかる傾向にあるため判断が難しい。最近の中国側の推定量であるクウェートの埋蔵量より20%大きいという値に対して両側専門家の多くは依然疑問視しているが、この海域には多分かなりの量の石油、特に天然ガスが存在するようである。中国は14世紀の鄭和(Zheng He)提督による航海にまでさかのぼっての関係をもとに南シナ海の4/5の海域に対して主権を主張