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GNP比で日本の3倍であり、そのうち石油需要分は年間20%の割で増加している。日本海をへだてた経済大国日本と比べて影響力の小さい韓国にとって1970年代及び1990-91年の湾岸危機という2つのオイルショックの特徴であった石油供給がひっ迫した場合の際の競争力という点での問題はより深刻である。半島の統一による域内需要の増大と中国との間の競争激化が予想される次の20年以上の間に韓国のエネルギーの安全保障に対する危機感は更に深刻化するものと見られる。

台湾もまた、韓国やかっての日本の場合と同様に、厳しい地理戦略的な面でエネルギーに関する深刻な脆弱性を抱えている。台湾は、韓国と異なり、本格的石炭の埋蔵がなく、石油と合わせて大量の石炭も輸入しなければならず、その総額は、1980年代中期の2倍以上、1975年の40倍に達している。APECの見通しでは、今後15年間で更に2倍に達するという。

ASEANは、日本帝国の1941年12月の東南アジア攻略の主目標であったインドネシア油田に支えられ、他のアジア諸国に対して、これまで純エネルギー輸出国であった。しかし、現在、この地域全体、特にインドネシアにおいて、国からの助成による国内エネルギー価格及び踏査や生産に対する行き過ぎた動機のために、石油輸入国の状態へと進む傾向が加速されつつある。ベトナムにおける生産の拡大にもかかわらず、ASEANは21世紀に入ると純輸入国になる筈である。

かくて、アジアの石油市場は、劇的かつ不安定化に向かう変化を迎かえようとしているように見える。新しい輸入国、特に中国とASEAN諸国は争奪戦に突入するものと見られる。1995年6月に出されたAPECのエネルギーに関する勧告委員会報告は、日本が突出した(1992年のアジアの石油輸入量の77%を占める)市場から、日本(37%)、中国(19%)、韓国(18%)、ASEAN諸国(17%)、台湾及び香港(9%)の諸国が微妙にバランスした市場に転換するものと予測している。

ダイナミックなアジアは、次第に、石油は豊富であっても情勢が不安定な中東(イラン及びおそらくイラクを含む)への依存を深めるであろう。イースト・ウェスト・センター(研究所)の見積りによれば、東アジア諸国が中東から輸入する石油の割合は、現在の70%から2000年には87%に増大し、2010年には95%に達するという。この中東依存の鍵は、かつて大量の武器輸出入にかかわった中国とイラク・イランの関係(イラン、イラク2国で全世界の確認埋蔵量の20%近くを占める)にかかっている。

石油満載のスーパータンカー群は増加を続け、今後数十年間シンガポール、香港、上

 

 

 

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