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のための作戦誇示、ローカルな紛争の危険に晒されている海運保護のためのエスコート作戦、無法者に対する空中からのミサイル攻撃なども海洋危機対応作戦に含まれるようになった。我々は現地の指令・統制能力を迅速な合同危機対応作戦に提供する。我々の自己維持耐久能力によって、事態安定化あるいは収拾に要する期間現地に留まることができる。必要であれば、我々は費用や政治的負担をさらにかけることなく、別の地域で大規模な事態に関与している米国のすきを突こうとする潜在的な侵略者を抑止することができる。

 

海洋抑止および危機対応作戦によって、侵略者による既成事実化を防ぐことができる。戦闘に信頼のおける海軍力を現地に提供することにより、戦闘空間を形成し、侵略者が目的を達成する遥か以前に紛争を停止すことができる。侵略抑止および危機解消のこうした努力は、地味なものであるが、常に成功するとは限らない。しかし、こうした努力は、潜在的な紛争における我々の役割に対する考え方を一味違ったものにする。合同軍事行動が開始される遥か以前に戦闘空間を形成する能力は重要である。なぜなら、紛争の初期における僅かな変化さえも、結果に大きな影響を与えかねないからである。我々は紛争初期の侵略阻止に焦点を当てている。我々は米国の対応を遅らせたり妨害することにより優勢を獲得したいと思っている潜在的な侵略者を粉砕することにより、抑止の信頼性を高める。

 

我々の諜報、監視、偵察能力により、国家のセンサーの感度を高め、潜在的侵略者の活動に対する米国の認識を高める。我々は海上船舶および飛行機でこれを明示的に行い、事態における米国の利益を警告として発する。さらに、潜水艦および海軍特殊戦闘部隊(Naval Special Warfare units)でこれを黙示的に行い、挑発的にならずに必要な情報を収集し、我々の将来の意図に関して戦略の見通しを立てる。

 

現地の海軍戦力は侵略者の計画策定の際に侵略者に我々の戦闘能力を考慮することを強いることにより、戦略・作戦状況を米国に有利な形に変化することができる。我々は我々の戦力を分散した状態で、しかも予測不可能かつ黙示的に行動させ、欺瞞工作をとることにより、敵対国が我々を標的とすることを困難にし、先制攻撃オプションをとらせないようにする。侵略者への即時対応のための様々なオプションにより、潜在的な侵略者にとって米国の行動を不確実にしておくことができる。こうした不確実性により、敵はバランスを失い、一貫した軍事行動計画策定は崩壊し、作戦を効果的に実行する自信を失うことになる。我々のセンサーは我々がつけいることのできる敵の弱点や矛盾を見いだすための再配備の監視を行うことができる。アラブ湾岸における米海軍・海兵隊の砂漠の盾作戦は、砂漠の嵐作戦において大量のイラク兵をクエート湾岸にくぎ付けにすることでこうした利益があったことを示すものである。

 

我々は同盟国、潜在的連合パートナー、沿岸の重要なインフラを守る盾を拡張し、抑止の効力を高める。戦域空中・ミサイル防衛能力はこうした盾の特に重要な要素である。我々は聖域を作り、そこで潜在的侵略者の威嚇の試みを無力化し、米国の同盟国支援を妨害することはできないことを認識させることができる。これにより、潜在的侵略者は軍事作戦計画を変更し、特定の武力あるいは武器の使用を断念し、あるいはより限定的な目的に注力せざるを得なくなるであろう。

 

 

 

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