を増額し続けている。中国はいわゆる”外洋型海軍”を建設するという計画で陸軍を百万人も削減したにもかかわらず、国防費の支出は増えている状況である。中国は原子力潜水艦が寄港できる新しい軍港建設、及び現在建造中のウクライナの大型航空母艦購入にも大きな関心を持っている。日本もまた世界第3位の防衛費を支出し、特に海軍力の強化に努力しており、既に世界の最先端のイージス巡洋艦が任務についており、常時1台の護衛艦艇を発進させるために少なくとも4台の護衛艦隊が必要だと考え装備を進めている。
このように日本と中国の軍備が活発に増強されている反面、米国および旧ソ連海軍この地域での活動は、相対的に萎縮しているように見える。ソ連の場合、質的近代化に努力しているが、ロシア経済の全般的な停滞は、軍事力の投資にもそのまま反映されている。米国もまたこの地域から徐々に撤収し、今後は選択的に介入(disengagement of selective engagement)することを余儀なくされる立場になりつつある。これは東アジアに対する米国の利害関係が変化し、米国がこの地域に積極的に介入するために必要な財政上の限界等が理由として挙げられる。結局、かつてこの地域のバランスに責任を負っていた米国とソ連が、次第にこの地域での勢力を失うようになった反面、日本と中国の勢力が増強される形勢になっている。
このような戦略上の変化と、これによる周辺国家の海軍力の変化は、韓国を二つの挑戦に直面させた。一つは、未だに解決されずにいる南北朝鮮間の敵対関係であり、もうひとつは漸増する日本及び中国の軍事力、特に海軍力の増強からくる脅威である。韓国はこのような状況に対し、どのような対応を見せねばならないのかを具体的に考えなければならない時期にきている。今まで韓国は、専ら北朝鮮のみを相手にしてきたため、陸軍力さえ十分にあれば安保問題を解決できる状況にあった。海軍と空軍力は、主に米軍からの支援を受けることができたためである。だが、今や戦略環境が変化し、韓国は少なくとも次の世代を見通す軍事力を考慮しなければならなくなった。特に海軍力においては、韓国の海軍は、北朝鮮のスパイ浸透防止、韓国漁船の漁業保護等、非常に簡単な任務を担っていた大陸的な海軍力のみを装備していた。冷戦は終わり、各国の軍隊はイデオロギーではなく、経済をはじめとする多様な部分での国家利益を巡っての対立が起きる状況になった。
朝鮮半島の周辺国家、特に日本と中国の海軍力強化、また米国がこの地域から次第に撤収しようとしている事実は、韓国海軍の将来についての再考を要求している。かつて韓国海軍は大陸的海軍として消極的装備のみを保有していた。今後、韓国海軍は北朝鮮からの脅威に対処すると同時に、海洋敵海軍力の任務もまた担うことができる軍事力に発展しなければならない状況に置かれている。海軍力の具体的な未来を描くためには、今後韓国海軍が選択しなければならない戦略的目標を明確にしなければならないし、また周辺国の海軍力が引き起こす脅威に対し、正確な判断を下さなければならないであろう。
訳注 : 兵器の名称、自衛隊などの固有名詞は、とりあえず韓国語の原文で使用されている通りに表記した