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(disengage)始めている。71このような時に、前章で既に考察した通り、中国及び日本は特に海軍力の増強に拍車をかけており、韓国もこれに備えなければならなくなっている。脱冷戦時代の韓国は、かつての陸軍中心の軍事戦略だけに固守することはできない状況になっていることは間違いない。朝鮮半島統一を成し遂げた後も韓国は、その地政学的性格、国家経済の性格、周辺国脅威の性格などを勘案すると、海洋的海軍力を持たなければならないだろう。韓国は三面が海に囲まれた半島であり、国家経済は対外依存的、輸出志向的経済体制を維持するであろうし、海外支援安定的流入を持続的に必要とする政治体制になるためである。統一韓国の国家戦略は、海洋戦力(maritime strategy)となることはほとんど確実であるため、今後は海洋海軍力を目指し努力しなければならないだろう。

海洋的海軍力というのは、かつて英国、今日の米国などが採択した海軍軍事力として、海上統制(Sea Control)、地上投射(Projection of Power Ashore)という力の適用戦略と海軍力示威(Naval Presence)、戦略的抑止(Strategic Deterrence)等の抑止戦略を同時に担うことのできる海洋軍事力であった。72

もちろん我々は航空母艦戦団を動員する米国海軍と同規模の海軍力を建設することはできず、また建設する必要もないだろう。韓国の全体的な国力の規模に見合う、また韓国の海路安全に最低限の保障装置になり得る海軍力を持てばよいのである。ここで海軍力の適正規模について述べにくい理由は、今後日本および中国の海軍力がどの程度の規模に成長するのか予想できないためである。ただ心配なのは、日本も一時米国と太平洋の覇権を競い合った海洋強大国であり、現在もそのような海洋強国になり得る諸々の条件を着実に整えつつあるという点である。既に日本は海洋海軍力の基礎作業といえる、護衛の役割を担う護衛艦隊一台を常時出動させる能力を持っており、このために4つの護衛艦隊群が必要だと言及しているのである。73日本同様、中国の艦隊も増強され続けていることは既に考察した。もちろん韓国が中国、日本の艦隊と絶対的な海軍軍事力において同レベルの水準になる必要が必ずしもあるわけではないが、海軍の軍事力建設には長期の投資が必要なことを勘案すると、これからでも長期計画樹立のために、より思慮深い研究が進められなければならないであろう。

南北統一を成し遂げる前であっても、韓国海軍の役割は拡大されなければならないだろ

 

71かつて全世界的なレベルの冷戦時において、韓国軍はソ連という大陸勢力(Land Power)及びこの先端である北朝鮮の陸軍を抑制するという機能を主に担っており、海洋国(Maritime Power)としての基本的な任務は米国がほとんど全般的に担った。かつて日本の海路安保は、まさにこのような側面において米国の核兵力に全面的にただ乗りすることができたのである。

72この問題に関するより詳しい分析は、姜永五「統一韓国の海軍戦略論」(ソウル:鏡文化社,1992)第2章“韓国陸軍戦略思考の問題”を参照すること。

73「平成4年度版防衛白書」,p.115.

 

 

 

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