感じなくなったのである。だが韓国は北朝鮮との地域的戦略バランスを維持しなければならず、休戦ラインは戦争が起きない抑止ラインとして維持し続けなければならないという負担を背負っているのである。即ち韓国は、北朝鮮との戦略バランスにこれからも神経を使わねばならず、今後増強されるであろう中国及び日本の軍事力にも留意しなければならない立場に置かれているのである。
2. 韓国の海軍力の現況
海軍力は、その意味するところが数世紀間変わらずにいる軍事力である。海軍力の主要機能は以下の通りである。1、危機状況において陸地で起こることに影響を与えようとするものである。2、自国の海洋通路(maritime Lines of communications)を保護し、海洋を使用することを拒否するためのものである。3、海軍力は地上戦に影響を与えるため、直接使用され得ることである。63このような海軍力の目的に十分に応えることのできる海軍は、全世界的に見ておそらく米海軍しかないと言っても過言ではない。また、韓国の海軍がこのような機能をすべて担うことができる強大な海軍力を持つ必要も、また能力もないであろう。だが今後東アジア諸国の軍事力バランスにおいて、海軍が占める比重が次第に大きくなっている事実に留意し、韓国の海軍力を周辺国家と比較し、これに対応する方法を講じる必要がある。特に韓国は、既に世界の10大貿易国家として海外交易量の99.8%を海上通路に依存しており、これらの物資動員量は実は年30万隻以上の各種船舶が、国内25の主要港湾を通って出入しているという事実は、韓国でも海軍力が相当重要になっているという事を物語っている。64だが、このような海上通路の重要性に比較すると、韓国の海軍力はいまなお乳幼児のような水準にすぎない65、小規模の軍事力であることは否定できない。韓国の海軍力は、戦闘艦艇トン数累計で世界10位、兵力面では18位に過ぎず、海軍力の指数を見れば日本の1/3、中国の1/4の水準であり、台湾海軍に比べても劣っている。66韓国の海軍力をより詳しく見てみることにしよう。
1992年現在、韓国の海軍は海兵隊25,000名を含む60,000名の兵力で成り立っている。4隻の潜水艦と38隻の水上戦闘艦(surface combatants)、81隻の警備及び沿岸水上戦闘艦、11隻の支援艦、15台の戦闘機、47台の武装ヘリなどを装備している。67 38隻の水上戦闘艦は9隻の駆逐艦、29隻のフリゲート艦を指す。警備及び沿岸
63 Colin S. Gray, The Leverage of Sea Power : The Strategic Advantages of Navies in War (New York : Free Press, 1992), p. 25.
64金達中(編)「韓国と海路安保」(ソウル:法文社、1988),p.71.
65キム・ジェホン「軍部と権力」(ソウル:ナナム,1992),pp.273-274.
66前掲書,p.274.
67 The Military Balance 1992-1993, p. 154.