題を解決しようとする意志を、中国は持っているのである。57
現在中国は、戦略環境の改善、及び経済状況に勢いを得て、海軍力発展に拍車をかけはじめたのである。事実、中国の海軍司令官は、海軍力を増強させるのに巨額の金かかっても、スプレトーリ諸島を安全に確保することで得られる利益と比較すれば、たいしたことはないという論理で海軍力の拡張を擁護している。58
実際、2000年までに海洋を開発することで得られる利益は、中国のGNPの2%に達するという事実を考えてみると、また北のリャアオニン省から南のクアントン省にいたる海岸に300余の都市が広がっており、この都市に海外の合弁投資の80%が集中しているという経済的現実等は、中国が海軍軍事力を増強しようとする意図をすぐさま正当化できる。59中国の人民会議は、1992年2月に南シナ海の領土紛争中の諸島が中国の領土であると既に宣言している。60 1991年1年間で、中国は4隻の新鋭軍艦を増加した。5番目の核潜水艦1隻(漢級)、2隻の改良された明級潜水艦、そして2隻の新型チンウェイ級フリゲート艦が建造され、これは今後6隻に増えるであろう。中国はこれ以外にも、1998年にルーフ駆逐艦、フアンミサイル艦などをさらに装備する計画である。61
上述した理由以外に、中国の海軍力増強は日本との関係でも考えられる。中国はいわゆる尖朔列島問題で日本と領土紛争状態にある。領有権問題は、この島を取り囲む大陸棚の領有権とも密接な関係があり、特にこの大陸棚には多くの油田が埋蔵されていると考えられている。1972年に日本と中国が国境正常化を成し遂げた時、両国の指導者は、この問題は次の世代が解決することにしようと、イッシューから外したことがあった。だが軍事戦略家達は外交官達とは異なり、この問題はまだ解決されておらず、もし日本が海軍力を強化し続けるのであれば、近い将来軍事的な紛争が勃発する素地が高いと警告している。現在、日本もまたさまざまな理由をつけて軍事力、特に海軍力を拡張している状況にあり、今後この地域を巡る領土紛争の可能性は、むしろ高くなっていくと思われる。
?Y.韓国の海軍力と発展方向
1.変化した戦略環境
57 Tai Ming Cheung, Op. Cit, p.7.
58 現在中国がとっている南シナ海での果敢な政策は、"South China Sea : Treacherous shoals" in Far Eastern Economic Review, August, 1992.pp.14-16参照。
59 Tai Ming Cheung, Op. Cit, p.7.
60 Ross H. Munro, "A wakening Dragon : in Asia is From China" (Foreign Policy Research Institute : Philadelphia, 1992. 10.
61 The Military Balance 1992-1993, p.140.