の量的な面で、隣接国の軍事力を圧倒していることは間違いない。
中国の空軍力もまた、その量的な側面で隣接国を圧倒している。兵力は470,000人に及び、470台の軽砲撃機、中間級砲撃機を装備しており、戦闘機の数は4,000台に達する。輸送機600台、そしてヘリコプターが約400機程度である。49このような大規模の軍事力は、もちろんこれまで中国が最も強大な敵国とみなしていた旧ソ連に対抗するための軍事力であった。もはやソ連からの脅威が消滅した今日、中国はこの軍事力をさらに近代化しようと努力しており、中国軍の近代化作業は、主に海軍力の増強という形で表れている。中国の海軍は、陸軍力に比べれはまだ軍事力は劣るとみなされているが、その数的な側面では周辺国の海軍を完全に圧倒しており、次第に近代化された海軍力に変化している。
2.中国の海軍力増強政策
中国の海軍は、兵力数が約260,000名に達し、46隻の潜水艦、17隻の駆逐艦、37隻のフリゲート艦、大略860隻程度の沿海艦艇で成り立っている。50このような量の海軍力は、現在の中国から見ると海洋防衛のための十分な軍事力だとはみなすことはできずにいる。事実中国は1970年代以降、いくつかの要因によって海軍力の増強に尽力してきた。伝統的に大陸志向だった毛澤東の死後、中国は西側に対してより柔軟な態度を見せ、中国本土の海岸を中心とした産業発達、西側との貿易、1970年代及び1980年代を通じたソ連の海軍力の急速な増加、南シナ海での領有権問題等により、中国は海軍力増強に深い関心を持つようになったのである。その結果、国防費の約20%程度が海軍力増強のために投資し続けられた。51このような中国の海軍力増強は、冷戦が解消された1990年代以降に、より一層はっきりと現れている。
英国のジェインス ディベンス ウィークリー誌は、”中国は2隻の大洋作戦用海軍船舶を建造した。このことは、中国海軍がもはや戦術行動次元ではなく、戦略作戦能力を開発する意思を持っていることを示すものである。最近上海の海岸に新型の再補給用船舶と、水陸両用船舶が停泊していたことが明らかになっている。この二隻の船舶は最近建造されたもので、一隻は試験運転中のものと思われ、もう一隻は年末頃に完成するものと思われる。この二隻の船舶の建造は、中国海軍が遠洋海域で長期間作戦を遂行する能力を持つとの意
49 Ibid.,p.147.
50 Ibid.,p.146.
51 1970年代および1980年代の初めまで、中国の海軍の増強問題は、Bruce Swanson, 'Naval Forces' in Gerald Segal and William T. Tow(eds). Chinese Defense Policy (Chicago : University of Illinois Press, 1984) pp.85-89参照。