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出したが、80年代の10年間に、防衛費の実質的な価値は50%程度上昇したのである。特に80年代初めに日本の防衛費支出の約1/4程度が軍事装備に投資されたのに反し、80年代末には国防費の1/3程度が軍事装備に投資されたことからして、日本の軍事力は実質的に増加していると見えるのである。特に1990年代以降、全地球的なデタントの結果、米国、ソ連の軍事費は桁違いに減っているが、日本の軍事費は増加し続けているだけでなく、1991-1995年期の防衛計画が承認され、これは1993年に中間報告された。42

1990年代以降の日本の軍事費増加は、米国との同盟関係の変化に大きな影響を受けたはずである。米国が日本との同盟関係を強力に維持することができれば、日本の軍事費が増強されても、その増強比率はそれほど高くはないはずである。万一米国の対日同盟関係が弱まれば、日本は自国の軍事費を増額し続けなければならないし、この場合増強される軍備は、主に海軍力に重きが置かれるはずである。現在の状況からして、米国は戦略的、経済的理由のため、次第に防衛費を減らしていくしかないであろう。結局このような状況で日本は、持続的に軍事力を増加することになり、軍事費の増強は海軍力の増強という面に表れてくるであろう。これは周辺国を脅かす要因になり得るはずだ。

 

V.中国の外洋型海軍建設政策と現況

 

中国は、たとえ経済発展の水準がアジア諸国の中で最も遅れている状況にあっても、最近はどの国よりも早い経済成長率を示しており、経済成長及び貿易黒字の結果、量産された外貨を国防の現代化のために惜しみなく使っているように見える。中国は、国防の側面から見ると、名実共に世界的な強大国である。果たしてこれから中国はどのような軍事政策路線を歩んでいくのかという問題は、後の東アジアの国際秩序に、重要な影響を及ぼすであろう。中国の軍事力はまた、日本の軍事政策に密接な影響を与えるであろうし、同時に日本の軍事力からも影響を受けるはずだ。中国の軍事力増強は、この地域での覇権国家の出現に反対する米国の立場に反するものであり、その結果は、米国の対北東アジア政策に影響を与えるであろう。だが1993年現在、中国は思いの外の状況だといえる程、軍事力を増強しており、特に海軍力を中心に軍事力の増強が成されている様相を呈している。本章では最近の海軍力増強の現況を、中国の基本的な軍事政策、及び陸軍および空軍力の変化と併せて考えてみることにする。

 

1.中国の軍事力の変化

 

1989年のゴルバチョフソ連大統領の中国訪問は、これまで国際紛争の脅威が最も

 

42 Jane's Defense Weekly, 1991.1.12. p.47.

 

 

 

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